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気候変動,パンデミック,大地震…データが示す「コロナの先にある未来」



2021年03月24日 公開

安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授・ヤフー株式会社CSO)

 

気候変動以外の脅威も近接

またとりわけ日本には、大震災の脅威もある。僕は昨年12月より、内閣府「デジタル・防災技術ワーキンググループ 未来構想チーム」の座長を務めているが、一日でも早い対応が必要な天災の行方に頭を悩ましている。

政府の地震調査委員会は2018年2月、東海沖から九州沖に延びる南海トラフ沿いでマグニチュード8~9級の巨大地震が30年以内に70~80%の確率で発生するとの予測を発表した。

50年単位でいえば、ほぼ間違いなく起こると推定される。発災は10年後か1年後かはわからないし、それこそ明日でも不思議ではない。南海トラフ巨大地震は、発生から5~10分で津波の第一波が広範囲に押し寄せるため、逃げる暇がほとんどない。

大都市圏である大阪と名古屋の大半は東京圏の東部低地帯と同様かそれ以上に標高・海抜が低いが、そこには世界でも指折りの地下街が広がっている。ここに大量の人びとが滞留しているときに津波が襲来すれば、大惨事になることは明らかだ。

また、南海トラフでの地震が東海(静岡沖)、東南海(愛知・三重沖)、南海(紀伊半島・四国沖)の三連動型で起きると、宝永の南海トラフ大地震(1707年)同様に富士山大噴火が引き起こされ、首都機能が不全に陥る可能性が相当にある(参照:鎌田浩毅『首都直下地震と南海トラフ』MdN新書)。

気候変動、パンデミック、大地震、火山噴火――。これらの複合的なリスクは、何もSFや「トンデモ理論」ではない。公開情報に基づいた、科学的に予見される事態である。僕たちはいまCOVID-19に翻弄されているが、今後はさらなる不連続事象に向け、心づもりをしておくべきだ。

 

withコロナからヒューマン・サバイバルまで

人類の存続危機が想定されるからといって、座して死を待つわけにはいかない。僕たち人類はいかに生き延びるべきなのか、「ヒューマン・サバイバル」の方策を考えなければならない。

ヒントになるのは、本誌2021年1月号(「AI×データ化時代の生存戦略」)でも紹介したアメリカのテスラだ。テスラは、脱グリッド(インフラネットワークから切り離されてランできる状態)化社会の実現を進め、自然エネルギーで社会を回そうとしている。

彼らは、本気で地球を救うための意味ある一撃を打ち込もうとしているのだ。日本のアントレプレナー(起業家)や経営者も、いまや危機が個人や一企業の枠を超えて、もはや国家というより人類社会の存続にまで及びつつある現実を認識すべきだ。

先に述べた開疎化も含め、価値ある「残すに値する未来」に向けESG(環境・社会・企業統治)視点で、事業・社会システムを刷新していく必要がある。「この星と未来の世代を守る」という使命感が乏しい企業や国・地域は今後、退場・劇的な変容を求められるだろう。

「Be ready for Pandemic and Disasters(世界的大流行と災害に備えができた状態に)」。世界が難局に直面するなか、人類皆が肝に銘ずべき言葉だ。

100年後の人類が、映画『インターステラー』(監督:クリストファー・ノーラン)で描写される世界のように、異常気象や天災・疫病による滅亡の危機に陥るか否かは、僕たち一人ひとりの行動にかかっている。

 



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