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“一研究者”が35歳で突然、国政へ…世界一影響力のある女性、アンゲラ・メルケルの謎



2021年04月01日 公開

川口マーン惠美(作家・ドイツ在住)

 

どんどん社会主義的に

メルケルの政治力が十分強大になった頃から、彼女の政策はどんどん左傾化していく。

しかし、国民の頭の中にはすでに、メルケルはCDUという保守政党の党首であるというイメージが巌(いわお)のように固く存在し、その思想の根底に、ひょっとすると社会主義が隠れているかもしれないなどという疑念は決して湧いてこなかった。だから、時に啞然としながらも、皆、結局、それを飲み込んでしまった。

ただ、私には、メルケルは、ドイツを社会主義化するという目標を早くから心に秘めていたように思えてならない。尊敬する父親カスナーの社会主義理念を空気のように吸って育ったことを思えば、ありえないことではない。

しかも、複雑怪奇な監視網の中で生き延びてきた両親をずっと見ながら育ったのだ。状況への適応の仕方、沈黙の重要さ、言質を取られない高度なレトリックなど、ありとあらゆる「技術」を、やはり空気を吸うように身につけていたことだろう。

彼女はそれらの能力を全て駆使して、これまでの一切の試みを超える理想的な社会主義の完成を、全力で目指していたのではないか。

 



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