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加速する“左傾化”…アメリカで起こる新しい「階級闘争」



2021年05月31日 公開

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

渡辺惣樹

ソビエトの崩壊(共産主義体制への幻滅)で、共産主義思想そのものの魅力を語る学生はほとんどいない。米国の左翼学生には、かつての左翼思想家の書物を読んだ形跡がない。

彼らに確固とした思想的支柱があるとは思えないが、フランクフルト学派と呼ばれる亜種共産主義思想に侵されている。この思想が一見マルクス主義と無関係に見える政治運動に擬態して、米国の若者の心に浸透した。

※本稿は、渡辺惣樹著『アメリカ民主党の欺瞞 2020-2024』を一部抜粋・編集したものです。

 

フランクフルト学派と呼ばれる亜種共産主義思想

米国の大学の空気を一般の日本人が理解するのは難しいようだが、実はそうでもない。60代後半から70代の世代は、1960年代に、日本各地の大学で吹き荒れた学園闘争の時代を記憶している。

当時の大学では、大学正門前には「ゲバ字」と呼ばれる奇妙に角ばった文字で書かれた立て看板が林立し、ヘルメットをかぶった左翼学生が「アジ演説」していた。

学内では、左翼系グループの組織が政治に無関心な学生(ノンポリ学生)を勧誘(オルグ)していた。

ソビエトの崩壊(共産主義体制への幻滅)で、共産主義思想そのものの魅力を語る学生はほとんどいない。米国の左翼学生には、かつての左翼思想家の書物を読んだ形跡がない。

彼らに確固とした思想的支柱があるとは思えないが、フランクフルト学派と呼ばれる亜種共産主義思想に侵されている。この思想が一見マルクス主義と無関係に見える政治運動に擬態して、米国の若者の心に浸透した。

フランクフルト学派について、『ブリタニカ百科事典』は次のように説明する。

「フランクフルト大学および同大学社会研究所(1923年設立)に所属する T・アドルノ、M・ホルクハイマー、M・マルクーゼ、J・ハバーマスらを中心メンバーとした一学派。彼ら相互の交流を通じて形成された『拒絶の精神』と名づけられる精神的基盤を特徴としている」

フランクフルト学派と呼ばれる学者たちは、ロシア革命(1917年11月:ロシア暦10月革命)が、なぜ世界革命に昇華しないのか(革命がロシア以外で成功しないのか)悩んだ。マルクスは歴史の最高発展段階に共産主義が現れると理論づけた。しかし、ロシアで成功したはずの労働者革命は世界革命にはならなかった。

フランクフルト学派の学者たちには、レーニンの惹起した革命が、「ウィンストン・チャーチルの起こした世界大戦(第一次世界大戦)とヨーロッパの紛争に国是を破って参戦したウッドロー・ウィルソン大統領の愚かな外交」が触媒となった偶然の産物であったことに気づかなかったのである。

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