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橋下徹「僕が一目置く部下には“ある共通点”があった」



2021年07月21日 公開

橋下徹(元大阪府知事・弁護士)

橋下徹

38歳で大阪府知事、42歳で大阪市長に就任し、大阪府の財政再建や都構想住民投票実施など、絶対に実現不可能だと言われた難題を実行してきた橋下徹氏。

その理由を、「どんなに正解がわからない問題であっても、組織やチームが納得できる結論を導いてきたからだ」と言い、今の日本のリーダーにはそれが足りないと語る。

そんな「橋下流・意思決定術」をあますところなく解説した著書『決断力』から、今回は「リーダーが一目置く部下の"ある行動"」について紹介する。

※本稿は橋下徹 著『決断力』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

できる部下はあえて「反対派」を連れてきた

『決断力』では、結果に至る過程・プロセスに正当性があるなら、正しい結果とみなす考え方=「手続的正義」の思考がこれからのリーダーには必要だと述べました。

この考え方は、最終決断をするリーダーだけでなく、決定権者に提案する立場、すなわち部下の立場でも役に立ちます。決定権者たるリーダーや上司が求めているものを見通せるようになるからです。

僕が知事、市長の立場で感じたのは、係長クラス、課長代理クラスには、自分の主張を裏付ける資料をたくさん作ってきて話す人が多かった。学者のように、自分の意見が絶対的に正しいと信じていますから、延々と僕に対して説明を続けてくる。しかし、これは絶対的な正解を前提とする実体的正義の考え方で、効果がありません。

どれだけ詳しく資料を出して説明しても、決定権者の側がその説明だけで判断できるわけがありません。なぜかというと、反対意見を聞いていないからです。

一方的な意見だけを言われて決裁を求められても、リーダーや上司は「反対意見はどうなのか」「何か問題点はないのか」という疑問が頭から拭えないので、決断できません。

そもそも、明確に判断できる問題、いわゆる「賛成80対・反対20」程度の判断であれば、上司にあげる必要はないはずです。それがあがってきているということは、部下たちの現場だけでは判断できない点があるからであり、その問題点を話してもらい、懸念をクリアーできなければ、上司も決断できるはずがないのです。

だから、上司に対して自分の意見を通したいとき、プロセスを重視する手続的正義の枠組みを使います。つまり、自分の意見に反対する人をわざと見つけてきて、上司の前で双方が意見を言い、その上で判断をしてもらうのです。

「双方の話を聞いてください。その上で、最終判断をお願いします」と言って、上司の面前でそれぞれ主張をする。反対派を上回る主張をし、裏付けがあることを判断権者に納得してもらえれば、自分の意見が通るはずです。

大阪府庁、大阪市役所で部長、課長クラスの人が知事・市長の僕に提案してくるときには、よくこの手法を使っていました。上司としては、賛成意見と反対意見の議論を目の前で見せてもらうと、両者の主張の違いがわかり、頭の中がスッキリして「割り箸役」としての判断がしやすくなります。

反対派を連れてくるのが難しい場合は、自分で自分の案に対してあえて問題点を列挙し、それを裏付ける十分な根拠資料を添付することが必要不可欠です。

先ほど述べたように、ポジションが上がれば上がるほど、何が絶対的な正解なのかわからない案件に携わることになります。低いポジションのうちから、判断が微妙な問題について手続的正義の考え方で正解を見つけていく手法を身に付けておいた方がいいと思います。

自分の意見の正しさばかり主張するのではなく、反対意見との比較から、決定権者にアピールする。自分の意見が反対意見よりも比較優位にあれば、上司はあなたの意見を採用してくれるはずです。

もし上司が反対意見を採用したとしたら、自分が出した案には問題点が多かったということ。あなたは悔しいかもしれませんが、組織としてはあなたの案が採用されなくてよかったのです。

あなたが、今回指摘された問題点を乗り越えるもっと良い案を準備していけば、次は採用してもらえるかもしれません。プロセスを意識した提案の仕方を続けていけば、自分の案がどんどんブラッシュアップされます。

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