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記憶力低下と年齢は関係ない? 実は「脳の活性化を妨げてしまう」行動

西剛志(脳科学者)

2022年12月05日 公開 2024年02月05日 更新

 

スマホを別室に置くと集中力は倍増する

これまでご紹介してきたことを実践していただければ、自ずと集中力と記憶力が高まり、学習効率も上がるはずです。それを持続させるためにも、してほしいことが一つあります。それは、勉強するときはスマホを遠ざけるということです。

他にやらなければならないことがあるのに、「あのメールに返信しなくちゃ」「明日の予定はどうなっていたっけ?」などと、つい気になってスマホに手を伸ばしてしまった経験がある人は少なくないでしょう。これについて、アメリカのカリフォルニア大学の研究チームが、スマホと学習の習熟度の関連性を調査したことがあります。

(1)スマホを目の前に置いて学習したグループ
(2)スマホをバッグの中に入れて学習したグループ
(3)スマホを別室に置いて学習したグループ

この3つのグループのうち、(3)が一番成績が良く、(1)が最も成績が悪いという結果が出ました。

この実験からは、サイレントモードにしたり電源を切ったりしていても、目の前にスマホがあると、集中力が削がれてしまうことがわかっています。

さらにこの結果は、目の前はもちろん、バッグに入れていても、手が届く範囲にスマホがあると、集中力が乱されることを示しています。

この事実を知って以来、私も集中したいときはスマホを別室に置くようにしています。脳は、20歳からゆるやかに老化していきます。それは止むを得ないことですが、脳の性質をうまく利用すれば、生涯を通じて意欲的に学び続けることは可能です。

脳科学の研究では、何歳になっても新しいことを始める人の脳は、老化しにくいことがわかっています。もしこの記事を読んで気になる方法があれば、ぜひ取り入れてみてください。新しい方法を積極的に取り入れる生活を送るだけで、みなさんの学習意欲は格段に上がっていくはずです。

【西剛志(にし・たけゆき)】
T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。1975年生まれ。東京工業大学大学院非常勤講師や特許庁を経て、2008年にT&Rセルフイメージデザインを設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、大人から子どもまで才能を引き出す方法を提供するサービスを展開している。『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)など著書多数。

(『THE21』2023年1月号特集「40代・50代から衰える脳 伸びる脳」より)

著者紹介

西剛志(にし たけゆき)

脳科学者

1975年生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。工学博士取得後、国家公務員を経て新会社を設立し、世界的に成功している人の脳科学的なノウハウや才能を引き出す方法を講演会などを通して1万人以上に提供。『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)など著書多数。

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