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エリックサウス料理長が教える「家庭で簡単! 本格スパイスカレーのレシピ」3選

稲田俊輔(料理人、飲食店プロデューサー)

2023年04月13日 公開

 

基本のスパイス4種

まず最初に揃えたいのはこちら。1:1:1:1の割合でブレンドするのが、何にでも使えておすすめです。

<コリアンダー>
さわやかな柑橘のような香りです。これ自体にさほど強い香りがあるわけではなく、いろいろなスパイスをミックスするときの土台であり、まとめ役。縁の下の力持ちです。

<クミン>
強くどっしりした香りと、どこか梅しそを思わせる香りとが共存しています。クミン自体に味があるわけではありませんが、料理のコクを感じさせる働きがあります。

<カイエンペッパー>
カレーのからさを受け持つスパイス。赤唐辛子です。これ自体に味があるので、調味料としての役割も。味わいと香ばしさの要素もあり、赤い色で視覚的にもおいしさを増幅させてくれます。

<ターメリック>
いかにもカレー! な黄色いパウダー。大地を思わせる香りと苦味が料理に深みを出してくれます。重層低音が鳴り響くコントラバスのように香ります。苦味が非常に強いため、使う量は慎重に。

◎コリアンダーとクミンは黄金コンビ! インドのみならず、アフリカやトルコ、中東、南米など世界中で使われる組み合わせです

 

追加のスパイス4種

基本の4種に加えることで、より華やかさやインパクトのある味わいになります。

<カルダモン>
華やかでエレガントな香りです。料理以外でも、スイーツにもよく使われます。香りそのものが強く、存在感のあるスパイスです。

<クローブ>
ほかのスパイスのシャープな香りに対して、クローブは甘いです。まったりと重く、なおかつスモーキーで、癖があります。少量でも充分に力を発揮するので、入れすぎに注意です。

<ブラックペッパー>
黒こしょうです。一般的には最もポピュラーなスパイスで世界中で使われます。唐辛子ほどではありませんが、からさがあるので、スパイスらしさを補い演出してくれます。食欲をそそる香りです。

<シナモン>
クローブとはまた違う甘さのある香りです。甘さに加えてピリッとした刺激的な香りも。ほかの3種類とは系統が違う香りで、少し独特な立ち位置といえます。

◎ガラムマサラというスパイスは、これらのスパイスを含む数種類~10種類ほどバランスよくミックスされたものです。まずは基本の4種+ガラムマサラを揃えていただくのがおすすめです

 

スパイスを使うときのコツ

スパイスの効果を最大に引き出す秘訣を3つご紹介します。

1. 入れすぎない

すべてはバランスです。「入れるスパイスの種類が増えるほど複雑で強烈な味になる」というイメージがあるかもしれませんが、むしろ逆です。たくさん入れれば入れるほど、癖のない凡庸な味になります。

四角形が六角形になり、八角形になり、と角が増えるほど円に近づいていきますよね、そんな感じです。だから印象的なカレーを作ろうと思ったら、「引く」ほうが大事です。

2. 熱でたたき起こす 

スパイスは熱によって活性化します。買ってきた状態の瓶に入ったスパイスは、いわば冬眠しているようなもの。もちろんふたを開けたら香りはしますが、なんらかの形で熱を加えることが必要です。「スパイスを熱でたたき起こす」という言い方を僕はしています。

たとえば鍋で野菜と肉を煮込んでいるところにスパイスを振り入れて一緒に煮込むというのは、スタンダードな使い方です。

でも、よりスパイスの持ち味を引き出そうと思ったら、油を使って温度をしっかり上げることが必要になります。そうやって活性化させることが、インドならではのスパイス使いの特徴です。

3. スパイスなしでもおいしいレシピ

スパイスは決して「まずい料理をおいしくしてくれるもの」ではありません。スパイスなしでもおいしいレシピで初めてスパイスが生きてきます。

そういう意味でも、スパイス料理を特別な料理ととらえるよりは、普段のおいしい料理にスパイスを加えるという感覚でいていただくのがいいと思います。下記に、そんなレシピをご紹介しますので、ぜひ作ってみてください。

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とっておき! 稲田流スパイスカレー 

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