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やなせたかしの名言 人間が一番うれしいことはなんだろう?

2016年02月18日 公開

やなせたかし(漫画家)

ちいさなてのひらでも、しあわせはつかめる

ちいさなてのひらでも、しあわせはつかめる。ちいさなこころにも、しあわせはあふれる――『ちいさなてのひらでも』

 世界にヒーローはたくさんいるけれど、自分を食べさせるヒーローはアンパンマン以外にいない。

 ちっともハンサムじゃないし、カツコよくもない。だけど、そんなアンパンマンに、なぜかひどく愛着を感じていた。

 出版から5年ほどたっても、アンパンマンは相変わらず地味で、ほめられることもなく、表面的にはちっとも目立たない存在だった。

 だが、このころ、目に見えないところで何かが動く気配がした。近くの写真屋の主人が「幼稚園に行っているうちの坊主が、毎晩、アンパンマンを読んでくれって言うんだ」と言ってくれたりした。図書館でも、『あんぱんまん』はいつでも貸出中で、新品を入れてもすぐにボロボロになると聞いた。

 アンパンマンを最初に認めたのは、よちよち歩きから、3~4歳ぐらいの幼児だった。まだ字もあまり読めない、行動範囲もせまい。だが、なんの先入観もなく、好きか嫌いかを、本能的に判断するのだ。

 成長が速いから、去年と今年で幼児は入れ変わる。だが、アンパンマンの人気は変わらず定着するようになった。

 

敵だけれど味方、味方だけれど敵

バイキンは食品の敵ではあるけれど、アンパンをつくるパンだって菌がないとつくれない。助けられている面もあるのです。つまり、敵だけれど味方、味方だけれど敵。善と悪とはいつだって、戦いながら共生しているということです――『絶望の隣は希望です!』

 アンパンマンが成功したのは、ばいきんまんの功績が大きい。自分で言うのもなんだが、ばいきんまんは世界的傑作だと思う。

 ばいきんまんの登場によって、アンパンマンに、もうひとつのメッセージが生まれた。「共生」だ。

 バイキンは食べ物の敵ではあるけれど、実は、パンだって酵母菌がないとつくれない。バイキンも、食べ物がないと繁殖できない。

 つまり、パンとバイキンは、敵だけれど味方、味方だけど敵という共生関係にあるわけだ。

 これは、われわれ人間にも言える。バイキンが絶滅すればいいのかというと、実はダメなのだ。人間も生きられなくなる。

 人の体内にはおびただしい数のバイキンが生きている。健康な人は、バイキンと戦いながら、両方が拮抗して、ある種のバランスを保って生きている。

 一度戦った細菌やウイルスに対して免疫ができる場合もある。だが、これで安心かというとそうではなく、次から次へと新型ウイルスが出現し、人は永遠にそれらと戦っていくことになる。

 そうした戦いをせずに、ウイルスや菌と共生する知恵、それがワクチンだ。こうして敵対するものとも共生していく。それが人間の知恵のすばらしさなのである。

 

人生、90歳からおもしろい!

80歳過ぎると人生のマニュアルがない。毎日が新鮮でびっくり仰天。見ること、聞くこと、やること、なすこと、すべてが未知の世界への冒険旅行だからおもしろい――『人生、90歳からおもしろい!』

 年をとると時間のたつのが速いとは聞いていたけれど、なるほど年々速くなる。風のように時間が飛び立っていく。

 このくらいの年齢になると、どう生きればいいかというマニュアルもなければ、お手本になる人もそうそういない。

 老境は人生の秘境なのだ。

 毎日、未知の世界への冒険旅行をしているようで、ますます生きるのがおもしろくなってくる。

 「もういい年なんだから無茶はおやめなさい」といった世間の常識に従うことはない。元気を奪い、枷をはめてしまう言葉に唯々諾々と従っては、せっかくの長生きがもったいない。

 「老人は老人らしく」しなくてもいいのだ。人間は人それぞれなんだから、「らしく」というひとつの価値観でくくる必要なんかない。

 「いい年」だからこそ、やりたいことはどんどんやっていこう。

 老年は家族への責任などから解き放たれて、自由に、気楽に、何をやっても許される年代なのだ。ワクワク、おもしろく、人生の終盤を生きていきたい。

iyashi

著者紹介

やなせたかし(Takashi Yanase)

漫画家、詩人

1919(大正8)年2月6日生まれ。出身は高知県香美市。東京高等工芸学校図案科(現・千葉大学工学部デザイン科)卒業後、製薬会社の宣伝部に入社。1941(昭和16)年、野戦重砲兵として日中戦争に出兵。終戦後、三越の宣伝部デザイナーを経て、独立。漫画家の肩書きを掲げるが、舞台美術や放送作家、演出家、作詞家、デザイナー、編集者など多分野で活躍する。1973年、代表作である『あんぱんまん』の絵本を出版。シリーズ化され、1988年、テレビでのアニメ放映が始まったのを機に大ブレイクし、現在に至る。
『詩とメルヘン』の編集長を長年務め(1973-2003年)、現在は季刊雑誌『詩とファンタジー』の責任編集を手がける。日本漫画家協会理事長を、2000年5月―2012年6月まで務めた。

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