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「歴史の教養」を磨く本5冊 - 歴史から現在を認識し、将来を展望する

後藤武士(著述家)

2013年07月05日 公開 2022年12月21日 更新

インテリジェンスを高める歴史本の読み方

<原子力安全神話はどのように作られたのか>

歴史を俯瞰して眺めると、時の為政者や権力者による「プロパガンダ」によって情報操作され、扇動されてきた一面が見えてきます。

『原発・正力・CIA-機密文書で読む昭和裏面史』(有馬哲夫著/新潮新書)は、原発問題に関連して話題になった本ですが、これを反原発本として読むのはつまらない。

戦後史のダークサイド、プロパガンダの成功例、現代における諜報戦の一例に触れられるものとして読むと、歴史観が広がります。


『原発・正力・CIA -機密文書で読む昭和裏面史』
有馬哲夫著
新潮新書/税込価格756円

<ノンフィクションとして「歴史」を読める>

プロパガンダに踊らされないためには、それを見抜く力が必要です。そのためには別の視点を持つことが有効です。

『一外交官の見た明治維新(上)・(下)』(アーネスト・サトウ著・坂田精一訳/岩波文庫)は、人気が高い幕末日本の政変劇を目撃したイギリスの青年外交官アーネスト・サトウの回想録です。

歴史は物語の中のような遠い世界ですが、本書はそんな遠い世界を現実の出来事として生き生きと感じさせてくれます。

時代が浅いため一級史料としても読みやすく、西洋人から見た当時の日本やアジアに対する率直な感想は、アジアを舞台にした幾つもの戦争の認識や評価に新たな視点を与えてくれるでしょう。

第三の開国と言われるいま、参考にすべきヒントも見つけられるかもしれませんね。

右を読んだら左というように、カウンターパートに触れることも大切です。それにより、両者がともに認める“事実”が掴めたり、矛盾が見えてきたりします。


『一外交官の見た明治維新〈上〉・〈下〉』
アーネストサトウ著 坂田精一訳
岩波文庫/各、税込価格819円

<私たちが認識する織田信長は実在したのか!?>

『二人の天魔王「信長」の真実』(明石散人著/講談社文庫)は、膨大な史料を縦横に読み解き、知将として知られる織田信長への意外な評価を見せてくれます。

どの史料に拠り、どう解釈するかで、歴史はまったく違った顔を見せます。歴史上の人物の功績や評価は時代の空気や要請によって変化します。そこにはプロパガンダも存在する。

過去の大河ドラマにおける坂本龍馬人気といまのそれを比較しても、そのことは証明できるでしょう。


『二人の天魔王「信長」の真実』
明石散人著
講談社文庫/税込価格620円

本を自分の血肉にするには、本に書かれた“事実”をすべて鵜呑みにしないことが重要です。「違う角度で分析したら?」「他の人はどう言っているのか?」と、そのテーマに関連する別の書物をたどり、自分で考証してみる。

そうやって歴史を味わうことができれば、歴史といまがリンクし、明日を生き抜くための道標となってくれるでしょう。

 

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