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成績が上がらない子の親の口ぐせ「うちの子は頭がよくない」

石田淳(社団法人行動科学マネジメント研究所所長)

2011年06月18日 公開 2022年09月08日 更新

 

"頭が悪いから成績が悪い"は「勘ちがい」

学習塾には、いろんなお子さんがやってきます。お母さんの希望はだいたい決まっていて、とにかく成績を上げてほしいという要求が圧倒的です。

「頭がいいほうではありませんが、せめて50点は取れるように…」

こんな言葉をお子さんの前で口にするのは危険です。お母さんは謙遜の意味も込めているのでしょうが、子どもがどんな気持ちで聞いているか想像してみてください。

この世で最も信頼している親に「頭が悪い」と決めつけられているのです。それも人前で。こんなことを言われたら、自分は頭が悪いと思い込んでしまいます。

実はこの思い込みほど恐ろしいものはありません。「できない」と思い込んでいると実力以下の成果しか出せないのです。しかし「できる」と思い込んだら120%の力を発揮します。

プロ野球を例にとってみましょう。アメリカの大リーグではイチロー、松井、松坂をはじめ多くの日本人選手が活躍していますね。日本人が大リーグでプレーすることは、一昔前なら考えられないことでした。

優れた選手はおおぜいいましたが、球界の制度が邪魔をして、脂の乗った時期に渡米するチャンスがなかったからです。

先駆者である野茂投手はこの制度を押しのけて大リーグに移籍しました。自分の意志を無理に通すやり方が日本社会の反感を買いましたが、冷淡な世論にもめげず、大リーグでめざましい活躍ぶりを見せたのはご存じのとおりです。

これをきっかけに日本球界の制度が整備され、有力選手が渡米できる環境が整いました。大リーグ移籍なんて夢物語だと思い込んでいた選手たちが「自分にもやれるはずだ」と頭を切り替えることができたのです。こうして頭を切り替えた選手たちの中から、現在の日本人大リーガーが続々と現れました。

似たような状況はどこの世界にもあるのではないでしょうか。「自分には無理だ」という思い込みが邪魔をして飛躍できない。成長できない。それが何かのきっかけで自信を持ったとたん、実力以上の力を発揮するのです。

勉強もまったく同じで、「できない」と考えていたらいつまで経ってもできないままです。「できる」という信念を持つと、成績は目に見えて上がっていきます。これまで何万人という生徒を指導してきた経験から、私はそう断言します。

そもそも、成績の悪い子は本当に頭が悪いのでしょうか。私はそうは思いません。頭が悪いと言われる生徒も、勉強のやり方を身につけたとたんにめきめきと成績を上げていきます。できないというのはただの思い込みです。

「勉強のやり方」と言いましたが、できない子は「やり方」を知らないのです。予習するとか、復習するとか、そういったことではありません。予習をどのようにするか。復習はどうやればいいか。具体的な「やり方」のことです。

やり方さえ覚えてしまえば、どんな子も必ず伸びます。自分の子を「頭が悪い」などと言うのはやめましょう。頭が悪いのではなく、やり方を知らないだけなのですから。

 

【PROFILE】石田淳(いしだ じゅん)
社団法人行動科学マネジメント研究所所長。株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。日本の行動科学(分析)マネジメントの第一人者。アメリカのビジネス界で大きな成果を上げる行動分析、行動心理を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として展開する。現在は、組織活性化に悩む企業のコンサルティングをはじめ、セミナーや社内研修なども行い、ビジネス・教育の現場で活躍している。

 

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