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子どもの「イヤ!」は身を守る反応…“豊かな心”を育むコツ

平木典子(東京福祉大学大学院教授/家族心理士)

2011年10月22日 公開 2024年12月16日 更新

子どもの「イヤ!」は身を守る反応…“豊かな心”を育むコツ

子どもに対する親の話し方は、今後の性格形成に大きくかかわる。このように話すのは、家族心理士の平木典子氏だ。親の接し方次第で、大人になってから屈折した感情表現をするようになることもある。

では、どのような言葉のかけ方がその子の人間性を育てるのか。具体的な3つの方法を紹介する。

※『PHPのびのび子育て』2011年7月増刊号〔完全保存版〕子どもが変わる「話し方」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

感情豊かな心を育てる

子どもへの親の話し方はとても大切です。人の性格には両親からの遺伝による先天的な部分と、後天的に環境によってつくられる部分があります。小さい時から関わる大人が、どんなふうに話しかけるかが性格の半分を形づくるとすれば、その影響は大きいと考えたほうがよいでしょう。

では、どんな言葉かけが子どもの心を成長させるのでしょうか。子どもは、親が自分の心をわかろうとしてくれたと感じるだけで、安心感を抱きます。

寄り添い、共感して理解してくれれば、さらに安心し、信頼を覚え、生きていく"自信"や自らの存在する"価値"を見(みい)出します。関心を持ってもらえたと思えることが何より大切なのです。

まつわりつく、甘えるという行為は、寂しい気持ちの訴え、自分のほうを向いてほしい信号です。その信号を受け取って、子どもの心に出向き、少しでも一緒の時間を持てば、子どもの心に生まれた不安は解消します。

 

素直な感情を閉じ込めない

そもそも、子どもは泣いたり、怒ったりして、感情を自然に表現します。悲しければ泣くし、「イヤだ!」と思うと怒るのです。誰もが日常的に感じている気持ちでも、小さい頃から「泣いてはダメ」「怒ったりしないのよ」と言われて育てられると、人は禁じられた感情を胸にしまうことを覚えます。

子どもは、自分の気持ちをわかってもらえないとき、悲しい気持ちになったり、「イヤだ!」と怒って訴えます。どちらも危険を感じ、自分を守るための大切な反応です。その気持ちをしつけと称して頭から否定されると、子どもは気持ちを封じ込め、やがて表現できなくなることがあります。

たとえば、虐待された子どもの多くは、そうした感情を言葉にすることも、感じることもやめます。抵抗しないほうが、それ以上虐待されないし、感じないようにすることで痛みや苦しみに耐えようとするのです。

そうした極限の状況に至らずとも、成長のプロセスで受けた大人からの言葉により、悲しいのに怒る、怒っているのに泣くといった屈折した感情表現をする大人も多くいます。そのことが相互理解を難しくする状況を生んでもいるのです。

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"共感する言葉かけ"が人間性を豊かにする

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