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日本人が知っておくべき『チベット 自由への闘い』

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

2018年01月29日 公開 2022年12月21日 更新

櫻井よしこ

<<本稿は、櫻井よしこ著『チベット 自由への闘い』(PHP新書)より一部・抜粋編集したものです。>>

チベットへの中国の暴虐と人権弾圧の実態を日本人は知っておかねばならない

国際政治は常に国益と国益のぶつかり合いのなかで展開する。力の強い国が席巻し、弱い国や弱い民族が片隅に追いやられる厳しい現実がある。

そうしたなかで、いま私たちの国、日本は、2700年近くの長い歴史を通して育くんできた穏やかな文明の力を発揮すべき局面にある。

一人ひとりの人間、個々の民族を大切にし、それぞれが自らの価値観、文化、宗教、暮らし方、生き方を全うできる社会こそ、私たちの目指す国際社会である。

アメリカが中・長期的に自国第一主義で内向きになり、中国が野望に満ちた膨張主義に走る。アメリカが国際社会への関与に背を向けて生まれる国際政治の空白に、間髪を入れずに中国が侵攻する。

そこに共産党一党独裁の国が持ち込む価値観は、民主主義を否定し、法治を蔑ろにし、人間の自由を阻害するものであり、決して誰をも幸福にしない。

日本の役割は従って、アメリカと共に、中国的価値観で世界が支配されなくて済むように、新たなより良い価値観を広めていくことだ。従来の民主主義や法治、人間の自由の擁護に、日本的誠実と相互尊重の要素を交えて、実践してみせることだ。より良い世界の構築に、日本こそが大いに力を発揮すべき時が、いまなのである。

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チベットと日本には多くの共通点がある

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