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「本当に話の上手い人」が“結論”から話を始めない理由

犬塚壮志(士教育代表取締役)

2019年03月13日 公開 2023年01月30日 更新

「前置きが長くなってしまう人」の心理的な共通点

ただし、前提を共有するときには注意が必要です。それは、前置きなど共有する前提のボリュームが多いと、「とりあえず、結論はなんなの?」、聴き手にそう思われてしまいます。単なる「言い訳が長い人」、そう思われてしまうことは避けられないでしょう。

実は、前置きが長くなってしまう人には、心理的な共通点があります。それが、「自己防衛本能」です。

とある企業さんで「わかりやすい話し方」をテーマにした研修でのことです。電話での対応でどうしても前置きが長くなってしまう女性社員さんがいらっしゃいました。その方に、

「どうしてそんなに前置きをたくさん話してしまうのですか?」

と尋ねたところ、

「理由や原因から話さないと、相手に攻められるという思いが先行してしまうんです」

この女性社員さんのように、「聴いている相手に、攻撃されるかもしれない」という恐怖心から、理由などの前置きを長々と話してしまうのですね。

だからこそ、話の冒頭ではコンパクトにテーマを語り、すぐさま結論につなげていくことが大事なのです。「で、結論は?」と思われてしまうことを避けるためにも、テーマを一言伝えたら、なるべく早い段階で「結論」へと続けていくのが、話がわかりやすい人の特徴です。

 

プロの開口一番は、「疑問文+結論」

これまでお話ししたように、確実に、聴き手にわかってもらうためには、結論の前に前置きとしてコンパクトな「テーマ」を持ってくるべきです。

実は、話しが巧みなプロ講師などは、テーマの代わりに、前置きとして疑問文を入れてから結論につなげるのです。例えば、このように。

「自分の話をわかってもらいやすくさせるための必要条件は何だと思いますか?それは、聴き手と前提を共有しているかどうかなんです」

いかがでしょうか。前置きとして、「自分の話をわかってもらいやすくさせるための必要条件は何だと思いますか?」テーマの役割も果たす疑問文をまずもってきます。

そして、それを問いかけることで、結論である「聴き手と前提を共有しているかどうかなんです」に対する前提の共有をあわせてしてしまうのです。

疑問文にすることで、聴き手の頭の中に「前提の共有」がフックになるので、そのあとに続く結論のインパクトを大きくすることが可能なのです。

結論から話しても、これまでなかなか上手く伝えることができていなかったと感じている方は、この手法をぜひ試してみてくださいね。

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