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『徒然草』も指摘!? 50歳を過ぎて居座る上司が引き起こす“災い”

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士),吉田裕子(国語講師)

2019年09月11日 公開 2022年02月22日 更新

 

あらためて『徒然草』134段を超訳で読む

他人のことならわかるのに、自分のことがちっとも見えていない人がおるわな。

外見は鏡を見ればわかるし、年齢は数えればわかるはずなのに、立派な人でも、なかなか自分のことは見えないものよ。自分が衰えていると気づけばすぐ退くべきだ。老いを自覚したら引っ込んで、大人しく静かに暮らせばいい。

求められてもいないのに、厚かましく出しゃばり続けるのは恥ずかしいことじゃよ。

 

あなたは部下や若手の「勅言」を受け入れられるか

国語講師の吉田です。徒然草134段の原文で印象的なのは、

「拙きを知らば、何ぞ、やがて退かざる」
(訳:拙いと気づいたら、どうして、すぐに退かないだろうか。いや、ただちに身を退くべきだ。)

中国の唐の時代に、後世お手本とされる善政が二回ありました。

①貞観の治(七世紀前半、二代皇帝・太宗による)
②開元の治(八世紀前半、九代皇帝・玄宗による)

ただ、このうち開元の治については、残念なオチがつきます。玄宗は四十四年の長きにわたって、皇帝の位に就き続けました。

その後半、世の中は乱れ始めます。息子の妻になっていた楊貴妃を奪って自分の妻にし、夢中に。政治をおろそかにしたり、楊貴妃の親族を出世させたりしたことが、「安史の乱」という大内乱の原因になります。

前半は、税制改革や節度使制の導入、外敵征服などで、たぐいまれなる国の安定・繁栄を実現したのに、後半は完全なる「老害」になってしまったわけです。いかに、自分の老いや衰えを自覚するのが難しいかを実感する例です。

この困難を乗り越えるには、「諫言」を受け入れる態勢が重要です。若い人や部下など、客観的に自分を見ている人からの忠告を、受け入れなくてはならないのです。

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