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コロナショックで迫る大暴落のXデー…“年金”が避けられない苦渋の「大規模売り」

近藤駿介(金融・経済・資産運用評論家)、鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

2020年03月31日 公開 2022年07月04日 更新

 

コロナショックとGPIFが売手に転じることでの長期株価低迷時代に備えよ!

近藤駿介氏と鬼塚忠氏

(近藤)アベノミクスにおいてGPIFは円安・株高をもたらす太陽のような存在でした。長い間、日本の株価はGPIFが支えていましたが、GPIFが売手に転じると、もうGPIFのほかに買い支えるところは見当たらないわけです。

(鬼塚)海外の投資家はどうですか?

(近藤)GPIFが買い支えていた日本株を、GPIFが売りはじめたら買うと思いますか?

(鬼塚)GPIFが売りたい価格では買いませんね。市場価格ではないからです。

(近藤)そうですね。そしてGPIFが売りはじめたら、世界の投資家も日本株を売り出すでしょう。こうして株価が下がり、GPIFの金融資産も目減りしていく可能性が高い。

たとえばコロナショックにより東京市場も株価が暴落したことで、どれぐらいGPIFの資産が消滅したか想像つきますか?GPIFのポートフォリオのうち日本株は25%です。約160兆円のうち25%というと40兆円です。

その40兆円の日本株ですが、日経平均の株価が1か月前は23,000円台でした。それが17,000円台まで暴落しました。これはコロナ騒動で少なくとも10数兆円が吹っ飛んでしまったと見られます。

(鬼塚)わかりました。すると年金の受給額が減ること、GPIFが売手に転じることで長期にわたる株価低迷の時代がやってくる可能性が高いということですね。そのような時代を迎えるなかで、わたしたちは、どのような備えをすればいいとお考えですか?

(近藤)老後2000万円問題を契機として投資に力を入れはじめる人もいると思いますが、今は投資に適した時期ではないということです。

すくなくともGPIFが市場の買手から売手に、つまり「太陽」から「北風」に転じることは念頭に置いて資産づくりを考えていただきたい。「貯蓄から投資へ」と叫ばれる昨今ですが、関心が年金がいつからいくら受け取れるのか?老後資金はいくら必要なのか?何歳から年金を受け取るのが得なのか?といった制度や金額だけに集中しているように感じます。

高齢化の進展や、市場を大きく動かしているGPIFの動向が金融市場に及ぼす影響、そうしたマクロな視点からの関心が低いことを懸念しています。このままでは資産作りに励んだものの、受け取る年金の額も金融資産も目減りするという事態になりかねません。

(鬼塚)投資は慎重に。GPIFをはじめ、マクロな視点での経済の動きをよく見るということですね。

(近藤)そうですね。今日に至るまでの日銀やGPIFの金融政策、今後GPIFが売手に転じることで経済に与える影響、その備えについては、2月27日にKKベストセラーズから出版された拙著『202X金融資産消滅』で詳しく解説しているのでそちらを参考にしていただきたいです。

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