1. PHPオンライン
  2. マネー
  3. やる気ある社員はわずか7%!? なぜ日本の会社員のモチベーションの低さは“世界屈指”なのか?

マネー

やる気ある社員はわずか7%!? なぜ日本の会社員のモチベーションの低さは“世界屈指”なのか?

水野元気(株式会社情熱)

2020年07月03日 公開 2022年07月14日 更新

 

拘束時間が長い、提案は通らない、個々の能力が活かされない…

働く人のエンゲージメントが下がっている理由は、個々にあり、また会社によっても要因はさまざまだと思いますが、一般的に次のようなことが指摘されています。

①時間と賃金が連動している
多くの会社は、一部の管理職を除けば成果主義というより、一定の時間会社で働くことを求められ、定められた時間に在社していない場合、賃金をカットされる仕組みです。

それが、パフォーマンスと生産性を高めようと意識している人たちからすると、違和感を覚える賃金形態といえます。

②過剰なコンプライアンス
最近の流れとして、社内外で何かが発生する度に新ルールが増えていく傾向にあります。

そのルールによって減点される恐れや、会社に監視されている意識を持つことにもつながり、さらには失敗を恐れる傾向につながり、業務の改善や発展に必要な挑戦を阻む要因にもなっています。

③複雑な組織形態と仕事の細分化
日本の会社の部署や役職の多さは、会議の多さや人間関係の複雑化により、提案のしにくさ、通りにくさを生みます。

また本来ならば、業務にかけるエネルギーを社内の世渡りに注ぐことにもなりかねず、それが無駄な徒労と感じ、やる気を削ぐことにつながります。

さらに仕事が細分化されることにより、「自分が誰の何の役に立っているのか」が見えにくくなりやる気が削がれることにつながります。

④職能型の処遇による個々の強みや使命の曖昧化
日本の職能型の処遇は、個々の強みを活かす専門職型ではなく、オールラウンドに対応できるゼネラリスト型といえます。

自分の専門分野を活かして仕事をしたい人にとって、会社における自分の使命や役割、存在意義すら見失う原因にもなってしまいますし、プロフェッショナルである自覚も誇りも消えていってしまうでしょう。

 

「内発的な動機」を作れない企業を社員は見捨てる

では、どうしたら働く人のエンゲージメント低下を防げるのでしょうか?

会社の組織編成を改良したり、社内を誰もが発言しやすいように風通し良くしたり、職場改善をするだけでは、根本的な改善にはならないでしょう。

そもそもエンゲージメントは、「会社に対する愛着」であったり、「組織が創り出す価値の一部になるための強い欲求」ですから、働く人自身が、その会社で仕事をするやりがいだったり、価値を見出すというような、「内発的動機」となり得るものが必要となります。

つまり、会社のミッションやバリューを明確に示し、その旗印のもと組織運営をしていくことが重要になるのです。

会社がバリューを前面に打ち出していると、働く人たちも会社が何を大事にしているのかが明確になります。働く人たちがバリューに共感できるようになると、それを拠り所にして仕事をするようになります。

バリューは時代の変化によってコロコロ変わるものではないので、拠り所が突然なくなることもありません。

ですからたとえ、細分化された仕事を担当しても、「『組織が創り出す価値=ミッションを実現させるためのサービスや技術』などのために行っている」という理解が生まれ、自分の役割に意味を見出せるようにもなります。

そのうえ、会社における自分の存在意義も感じられるようになるでしょう。すると、一人ひとりが、会社を自分の場所と感じられるようにもなり、それが会社への愛着になっていきます。こうして、エンゲージメントが着実に高まっていきます。

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×