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休校中に大量の宿題プリント…コロナ禍であらわになった「学校間の格差」

妹尾昌俊(教育研究家)

2021年05月31日 公開 2021年07月09日 更新

休校中に大量の宿題プリント…コロナ禍であらわになった「学校間の格差」

いま、日本の教育が危ない。コロナ禍の全国一斉休校等の「教育の危機」に際し、主体的に動く学校もあったが、多くは「受け身で指示待ち」の対応に終始し、今日まで変化に対応できずにいる。それは「日本の学校が"学習する組織"になっていないからだ」と、全国の学校現場の声を聴き続けてきた教育研究家の妹尾昌俊氏は語る。

そこで今回は、妹尾氏の著書『教師と学校の失敗学』(PHP新書)から、「コロナ禍が露わにした日本の教育状況」について一部抜粋・編集の上、紹介する。

 

「子ども本位で動けない」学校の実態

「日本の学校はまだまだ遅れているな……」
「子どもたち目線や保護者目線で、もう少し考えることができてもいいんじゃないか」

この4月に地元の公立中学校に入学した次女から手渡された、何枚ものプリントを前にして、私は少々ため息をつきました。

生徒の基礎データを整理するシート、家庭環境調査、緊急時の引き渡し確認票、健康状態や診断結果を記入するシートなど……。そこに氏名や住所、電話番号といった同じ情報を何度も手書きします。

公立小中学校の場合、学校を設置・管理する教育委員会は、児童生徒の基本的な情報や家庭情報の一部をもっています。にもかかわらず、新年度で忙しい保護者になぜそれらの情報を書かせようとするのか、理解に苦しみます。

年1回のことですし、たいした問題ではないと思う人もいるでしょう。確かにそうですが、私がもっと大きな問題だと思うのはこうした小さなことひとつとっても、学校や教育行政(教育委員会等)が変わろうとしてこなかったこと。

そしてその結果、デジタル化が進む世の中から学校が取り残されてしまっている現実を、多くの保護者や子どもたちに「お知らせ」してしまっていることです。

 

学校が止まった日、なにが起きていたか

そんな「変わろうとしない学校」「身動きがとれなくなっている日本の教育」を象徴していたのが、約1年前の全国一斉休校のときの対応でした。全国一斉休校が決まった当時、校長や先生たちからは「卒業式をどうしようか」「通知表をどう渡そうか」という戸惑いの声が多く聞かれました。

しかし、卒業式は、学校行事のなかで特に重要な節目ですが、卒業生と教職員のみ出席(来賓や保護者なし)とするなど開催方法の工夫はできましたし、通知表は法的には何も定められていないので、出しても出さなくてもいいものです。

前例は通用せず、なにが正解かなど誰もがわからないなか、教職員も教育行政もとてもたいへんな状況でした。ですが率直に申し上げると、卒業式や通知表を心配するよりも、もっと別のところに知恵を絞って行動していくべきでした。

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コロナ危機で主体的に動いた学校はごく少数

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