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「仕事を抱え込んで自爆する部下」を見分けるある質問

カレー沢薫(漫画家・コラムニスト)

2021年12月13日 公開 2023年09月05日 更新

「仕事を抱え込んで自爆する部下」を見分けるある質問

仕事に対しやる気があり、人間関係に繊細なのはいいが、それで健康を害してしまっては無意味。時には、仕事に無感情な人間の姿勢を取り入れ、「どうでもいいことでは悩まないようにする」のも大事なのでは?

そんなわけで、新刊『反応したら負け』から、後輩が仕事を抱え込むのを防ぐ方法をお届けしたい。

※本稿は、カレー沢薫著『反応したら負け』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「怒られたくない!」から仕事を抱え込む

後輩に仕事を任せ、そろそろ出来たかなと思ったら、出来ていないどころか、自分が何をしたらいいのかさえ理解していなかった、というのはよくある話である。

ねえよ、と思ったかもしれないが、少なくとも私の身にはよく起っていた。もちろん抱え込む側としてだ。よって抱え込む側の気持ちはよくわかる。

まず、なぜ抱え込むかというと「死んでも怒られたくないから」だ。「何がわからないのかもわかりません!」と言って怒られるのが嫌だから、さも「完全に把握」であるかのような顔をして、取り返しがつかなくなるまで仕事を抱え込み続けるのである。

その方が逆に死ぬほど怒られるだろう、と思うかもしれない。その通りだ。

しかし、そういうタイプは「今この瞬間怒られないことが大事」という刹那的生き方をしているため、先々のことなど考えずに「大丈夫っす!」と言ってしまうのだ。

よって「怒らない」のが1番いいのだが、それだと残念ながら相手が図に乗る。むしろそういうタイプに「絶対怒らない人」認定をされると、ありとあらゆる面倒ごとの相談窓口にされ、「パイセンの方からすぐ怒る上司に報告してくれませんか?」などと平気で言ってくるため、菩薩と思われるのは絶対に避けなければいけない。

 

「相談しやすい雰囲気」を醸し出すには?

大事なのは「相談しやすい雰囲気」である。後輩とて、平気で仕事を溜め込んでいるわけではなく、いつこの惨状を先輩に伝えようか、と迷い続けているのだ。もちろん、この報告が早ければ早いほど傷は浅くなる。 

この「初動」を左右するのは当然、相手が「相談しやすいか否か」であり、さらに重要なのは「相談することで苦しみから解放されるかどうか」である。相談して怒られたうえに、「知らん、てめえで何とかしろ」と言われるだけなら言うはずがない。

よって、まずは平素から無駄に怒るのはやめた方がいい。「怒りっぽい人」と認識した時点で、絶対怒られたくない人間はほぼ何も言わなくなってしまう。

また、言葉遣いを乱暴にしたり、むやみに大きな声を出すのはやめた方がいいし、できればモヒカンやトゲつきの皮ジャンも控えよう。

社会に反する組織の方がコワモテな格好をするのとは逆に、社会的な組織に所属している場合は、外にはもちろん、部下にも威圧的にならないことが大事である。

上司や先輩として威厳は必要と思うかもしれないが、あまりにも「舐められたらあかん」という姿勢で接すると、下の者は萎縮し、萎縮すると「ホウレンソウ」を一斉に放棄し始めるため、管理職としての資質ナシと判断されてしまう。ともかく「怒ったりジャックナイフを出さずに話を最後まで聞く人」と思われることだ。

しかし、聞くだけでは、女同士の悩み相談と言いながら最初から答えが決まっている話と大差なくなってしまう。

よって「この人に相談すればこの苦しみから解放される」と思わせることも大事だが「俺に任せろ」みたいなことを言うと、後輩が抱えていたものを自分が抱えるだけだし、面倒ごとの窓口どころかディスポーザーと思われてしまう。

相談されたら解決策を一緒に考え後輩にやらせる、もしくは抱えていた仕事を周囲に振り分けるなどの対策を講じよう。それ以前に、そういうタイプは「言わなくても自分のピンチに気づいて声をかけてほしい」と面倒くさい彼女みたいなことを考えているため、取り返しがつかなくなる前に気づくことも大事である。

基本的に「大丈夫か?」と聞いて瞬時に「大丈夫です!」と答える場合は、大丈夫じゃない可能性を想定した方がいい。

そもそも、「大丈夫か?」という質問自体曖昧すぎて瞬時に答えられるものではなく、たとえ大丈夫でも何がどう大丈夫なのか多少シンキングタイムが必要なはずである。それがないということは何も考えずに反射的に答えているだけだ。

絶対怒られたくない勢の口癖は、ノーシンキングの「大丈夫」。これを覚えておくだけでもボンクラ後輩の見分けは大分つきやすくなる。

 

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