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生き方

カズ語録…僕はこれを若い人に伝えたいと思う

三浦知良(プロサッカー選手)

2012年03月03日 公開 2022年12月27日 更新

三浦知良

挑戦することが成功すること

「常に何かに挑戦していれば輝きは失わない」

これも好きな言葉です。挑戦して、その結果が成功だとか、失敗だとかではないんだ。挑戦した時が、もう成功と言えるんではないだろうか。

サッカーだけじゃなく、人生では、成功とか失敗とか、簡単には言い切れないと思う。

たとえば、何かの世界チャンピオンになったとしても、引退してから酒におぼれたり、人に迷惑をかけたり、人生を捨ててしまったら、世界チャンピオンになったことは成功じゃなくなるんじゃないかな。

一方で、たとえ世界チャンピオンにまではなれなくても、負けた自分にプライドを持って豊かに生きていくことができたら、それは、人生というくくりで見て成功だよね。

チャンピオンを賭けた一戦なんて、人生の中では一瞬だよ。その勝負に勝ったか負けたかで、人生を決めることは誰にもできない。そんな決めつけより、自分自身がどれだけ納得して毎日を過ごしているかのほうが大事だと思う。みんな成功したい、勝ちたいと思うけど、負けたから失敗だということではないんだよ。

僕はこれを、特に若い人に伝えたいと思う。勝敗よりもチャレンジすること自体が成功だということを、若い人みんなが思って生きていけば、本当にいい世の中ができるのではないかと感じるから。

みんなそれぞれ価値観があり、人生のとらえ方も違う。でも、なんでもあきらめずにやることが大事。かなったか、かなわなかったかよりも、どれだけ自分が頑張れたか、やり切れたかが一番重要なんです。

僕はいつも「かなう」と信じて行動するけど、やっぱりかなわないこともある。人生は、結果が出る時と出ない時のくり返し。最後に死ぬ時、自分の生きた証がつかめていればいいんだ。

 

45歳の僕の夢

「プロになるのは難しい。100%無理かもしれない。でも、可能性が少しでもあれば俺はがんばる」

これは1983年、ブラジルに渡った直後に友人に送った手紙の中の一節だ。1%の可能性があれば、それを信じて進んできた。

そして僕は今、もう一度海外でプレーしたいという夢に向かって進んでいる。

日本にいたら、どうしても「カズさん、カズさん」と、みんなが持ち上げてくれる。それはとてもありがたいことだけど、時にはどれが本物でどれが偽物か判断がつかない時もある。自分の足がちゃんと地についてるのか、ついてないのか、わからない時もある。

だから日本を出て、自分を実力でいいか悪いか評価してくれるところでプレーしたいんだ。自分を客観的に見ることができ、頭がやわらかくなり、人生で学ぶことも多くなる。

そうやって成長し、アジアのサッカーを底上げする力になりたいと思う。

サッカーにはヨーロッパと南米という2大勢力があり、そのあとにアジア、アフリカ、オセアニアが続いている。その中で、まずアジアで日本が中心となってサッカーを盛り上げていくことが大事だ。

これから10年、アジアの枠はもっと広がっていく。日本の選手がスリランカでプレーする時代がくるかもしれない。タイのアクロバティックなプレーレベルも高い。日本、韓国、中国の交流も格段に広がっていくだろう。

今のヨーロッパでは、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、イングランドのリーグで活躍する選手の国籍がバラバラといった状態だ。アジアもそんなふうになっていくに違いない。現に、岡田武史さんも中国で監督をやってる。

アジアの選手たちが日本に来る、日本の選手たちがアジアにも出るという活性化した状態が、今のグローバルな世界では求められる。そうなってアジアのサッカーのレベルが底上げされると、ヨーロッパという舞台がもっと近くなる。

その一方で2011年は、女子サッカー日本代表のなでしこジャパンのみなさんがW杯で優勝という快挙を成し遂げてくれた。このニュースは同じサッカー人として本当にうれしかったし、誇りに思います。キャプテンであり、バロンドールに選ばれた澤穂希選手をはじめ、監督以下チーム・スタッフのみなさんには心から敬意を表します。男子サッカーも負けてられないね。

近年、東日本大震災をはじめ、日本各地で想像もできなかった大災害が頻発している。その上、世界経済もおかしい。元気がない。そんな状況で、「サッカーなんてしている場合じゃない」とも思ったんです。だけど、僕らがプレーをつづけることで、夢や希望を感じとってもらえるならば、こんなにうれしいことはありません。

 

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