スポーツドクターが疑問視 「子ども筋トレをすると身長が止まる」の真偽

田崎篤
2023.10.13 12:08 2023.02.14 11:05

田崎篤(聖路加国際病院医長)(撮影:鈴木真貴)

聖路加国際病院の整形外科医として、また、7⼈制ラグビー⽇本代表や大学ラグビー部などのチームドクターとして活躍中の医師・田崎篤先生。
その田崎先生の著書『子どもの健全な成長のための スポーツのすすめ』では、スポーツ医学の正しい知識、スポーツにおいて大切な知識を、子どもたちや保護者、指導者に向けて伝えています。
本稿では同書より、親世代には「常識」と信じ込まれがちな「昔の常識」について、第一線で活躍するスポーツドクターの視点から解説した一節を紹介します。

※本稿は田崎篤著『子どもの健全な成長のためのスポーツのすすめ』(岩崎書店刊)より一部抜粋・編集したものです

田崎篤 (聖路加国際病院整形外科スポーツ総合医療センター医学博士)
学習院初等科/麻布中学・高校/日本医科大学卒/東京医科歯科大学大学院修了。1997年より聖路加国際病院に勤務、医長、副センター長(リハビリテーションセンター)。2004~2006年、米国留学(Johns Hopkins University,Tennessee University Campbell Clinic)でスポーツ医学の研究に従事。2010年よりラグビー日本代表(7人制男女)、リオデジャネイロ五輪他多くの国際大会に帯同、その他大学ラグビー部、アメフト部チームドクター、スポーツ関連医学学会の役員も複数勤めている。

【昔の常識その1】筋トレや練習を1日休むと取り戻すのに2日かかるはウソ?

リレーをする子ども

「筋トレや練習を1日休むと取り戻すのに2日かかる」などという、ほとんど脅しのような指導もそうですが、親世代が信じ込んでいた、しかし今では否定されている「昔の常識」は多々あります。

昔は日本社会において、厳しく戒め、叱咤することが子どもの力を伸ばすと信じられていたように思います。ところが今では、厳しくすることよりもほめる方が、子どもの習得速度が上がるということが科学的実験により証明されています。

具体的には、子どもへの指導方法において、「自分の問題点を指摘され評価される指導法」、「他人のよい例を手本として見せられる指導法」、そして「自分のよいところをほめられる指導法」の3つを比較する実験の結果、ほめられる指導法が最も子どもの達成度が高まる結果となった、ということです。

脳科学の研究者チームの報告によると、ほめられたときと、仕事の報酬を得たときに活性化される脳の部位は同じだそうです。子どもがほめられたとき、私たちが給料を手にしたときと同じ喜びを感じるとは、なんともリアリティを持って理解できますね(笑)。

田崎篤

田崎篤

学習院初等科/麻布中学・高校/日本医科大学卒/東京医科歯科大学大学院修了。1997年より聖路加国際病院に勤務、医長、副センター長(リハビリテーションセンター)。2004~2006年、米国留学(Johns Hopkins University,Tennessee University Campbell Clinic)でスポーツ医学の研究に従事。2010年よりラグビー日本代表(7人制男女)、リオデジャネイロ五輪他多くの国際大会に帯同、その他大学ラグビー部、アメフト部チームドクター、スポーツ関連医学学会の役員も複数勤めている。