PHPオンライン衆知 » 経営・リーダー » 生後3ヶ月の息子の「目が見えない」と分かって人生が激変した

生後3ヶ月の息子の「目が見えない」と分かって人生が激変した

2021年03月04日 公開

澤田智洋(コピーライター・世界ゆるスポーツ協会代表理事)

澤田智洋氏

だれもが持つマイノリティ性=「苦手」や「できないこと」や「障害」や「コンプレックス」は、克服しなければならないものではなく、生かせるものだ――各界が注目する「福祉の世界で活躍するコピーライター」澤田智洋氏は語る。

ひとりが抱える弱さを起点に、みんなが生きやすい社会をつくる。これが、澤田氏の提唱する「マイノリティデザイン」という方法論。「弱さ」を起点にさまざまな社会課題を解決する仕掛け人が、仕事の全貌を明かしてくれた。

※本稿は、澤田智洋著「マイノリティデザイン」(ライツ社)から一部抜粋・編集したものです。

 

花形だったCMプランナーの裏側

CMプランナーは、広告業界の花形。いまやネット広告費がテレビ広告費を上回る時代となりましたが、2000年代はまだテレビCMが圧倒的に力を持つ時代でした。

気づいたら僕も、同時に何本ものCMを担当するようになっていました。だれもが知っている企業のCMに、だれもが知っているタレントを起用する。とてもメジャー感あふれる仕事です。

自分が考えたCMが全国で放映されていく。「このあいだ澤田がつくったCM観たよ!」「なんか賞獲ったんでしょ? すごいね!」……友人たちから、次々とメールが届きました。はじめのうちはなんだか誇らしい気持ちでいっぱいになっていましたが、いつしか僕はその日常に慣れていきました。

テレビCMがどれだけの人の目に触れたのか。それは「GRP」という視聴率の合算によって計算されます。「ゴールデンタイムのこの番組と、プライムタイムのこの番組で放映されたので、計2000GRPでした」という数字でクライアントには報告されます。

でも、僕ら広告会社のクリエイターは、その2000GRPという数字の向こう側にいる、一人ひとりに会うことはありません。自分がつくったCMに対する反応を直接は見ることができません。ましてや、今ほどSNSが発達していない時代です。

大きなプロジェクトに関われば関わるほど、チームの人数も増えていきます。そのたびに、「自分ってなんのためにここにいるんだろう?」という疑問も浮かんできました。

  

広告なんて、はじけて消える「シャボン玉」

僕は「広告作業」に疲れを覚えていたのでしょう。CMの場合、オンエアされるまでの制作期間は数か月。でも、放映されるのは1〜2週間だったりします。キャンペーン期間が終われば、もう流れません。

どんなに苦労して考えて、徹夜続きでなんとか完成させたとしても、オンエアが終わればすべてリセットされて、また次のCMの制作が始まります。

たとえるなら、まるでシャボン玉を無限につくり続けているようなもの。パチン!」と弾けては消える、はかないものです。もちろん、この考えは極論です。

CMが短い期間で、一気に商品の認知度を上げたり売上を伸ばしたり、ブランドイメージを上げることができるのは間違いありません。今2021年時点でもその効果は高い。これは揺るぎない事実です。

でも、ひとりの働き手としては、膨大な時間を広告制作に割いていることに対して、なにか手触り感がなかったんです。同じようなはかなさを、あるいはむなしさを抱えながら働いている人が、今、日本のいろんな職場にいたりするのかな、なんて。

次のページ
父親がキレイなCMをつくったところで、視覚障害のある息子は見れない >

関連記事

編集部のおすすめ

両目の見えない女性に“即プロポーズ”…8年待ち続けた男性の「本心」

山田清機(ノンフィクション作家)/人物撮影:尾関裕士

クラブから門前払い…ハンディを背負うスイマーを立ち直らせた“ゴッド・マザー”の教え

山田清機(ノンフィクション作家)/人物撮影:尾関裕士

「新庄と亀山だけが心の支えだった」編集者の ”野球愛”が隠せなかった広告コピーの本

大塚啓志郎(ライツ社代表)

2月開催!!ハッピーウーマンオンラインセミナーシリーズ-Dr.クリスティンペイジ

WEB特別企画<PR>

アクセスランキング

WEB特別企画<PR>

2月開催!!ハッピーウーマンオンラインセミナーシリーズ-Dr.クリスティンペイジ
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

ホーム » 経営・リーダー » 生後3ヶ月の息子の「目が見えない」と分かって人生が激変した

×