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「大学の偏差値に妙に詳しい受験生」が受験に失敗しがちな理由

2022年05月03日 公開

濱井正吾(浪人ライター)

大学受験生

受験を成功させるには、勉強することが大事なのは無論だが、受験期をどういった考え方で過ごすかということも同様に重要だ。9浪して早稲田大学に入学したいわゆる「多浪生」であった濱井正吾さんが、自身の体験や周りの多浪生を見て気づいた、受験を成功させるためのメンタルの作り方を紹介する。

※本記事は、濱井正吾:著『浪人回避大全』(日本能率協会マネジメントセンター)より、一部を抜粋・再編集したものです。

 

楽観的思考は捨て、最後まで全力を尽くす

長い人生を送る上では、将来なんとかなるだろうと楽に構える心の持ちようは大事です。

しかし、受験においては悲観的でいたほうがいいでしょう。

「獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす」という格言があります。

百獣の王であるライオンが小さくて弱い草食動物である兎にも全力で向かっていく様子から、小さなことにも手を抜かず何事にも全力で向かうという意味を表す言葉ですが、この姿勢は本当に大事です。敗北は死を意味するからです。

受験においても気を抜いていいことなど何もありません一つひとつの積み重ねが将来の自分を作ります。

私の知人に東京大学文科Ⅰ類に首席で合格した佐藤寛司さんという方がいます。彼は、高校2年生のセンター試験の同日模試の段階で、すでに東大に合格するまで残り10点くらいのところまで仕上げていました。それも体調が悪い状態で臨んでの点数です。

普通の感覚なら、もう少しで合格できるしあと1年もあるから大丈夫だと思い、気を抜いてしまうでしょう。それでも彼は一切の妥協をすることなく、高校3年生の1年を勉強に費やし、東京大学に首席で合格したのです。

佐藤さんはこう言います。

「自分より才能ある人はいっぱいいる。けど、そういう人は受かる確信ができたらもうそれ以上は勉強しない。だけど自分は(合格可能性が)100%になるまで勉強し続けた」

普通の受験生ならある程度確実に合格できると思えたところで今までのような猛勉強はやめますが、彼は東京大学に合格するためにあらゆる負の可能性を潰し続けました。

佐藤さんは同日模試でコンディション調整に失敗して東大の合格点に届かなかったことを失敗と捉え、高校2年生の段階で「もうすぐ受かる」ではなくて、「最悪のケースなら自分は落ちるんだ」と思い続けたのです。

「最悪のケースでも落ちない実力をつけよう」

この気概が佐藤さんを首席合格させた原動力と言えるでしょう。「受験というものに対してもう一切の思い残しがない」と佐藤さんは語っておられました。

このような境地に至るためには、日々研鑽が大事です。これくらいの熱意を持って物事に臨んだほうが、将来後悔する事例に遭遇することも少なくなるのは間違いないでしょう。

皆さんも、この気持ちを持って今ある時間を大切に、勉強してみてください。

 

必要以上に大学の情報を調べない

大学の知識や偏差値に異様に詳しくなる。これ、毎年必ず出現する学歴・大学マスターあるあるです。

でもあまりに知りすぎてしまうと、大学受験には悪影響です。

「●●大学●●学部の偏差値は70!」
「●●大学の教育学部は教員養成学部じゃなくて開放制!」
「有名人の〇〇は●●大学を3浪して中退!」

こうした受験と関係ない背景知識だけポンポン出てくるようになったら、あなたもめでたく多浪予備軍と言えるでしょう。

私みたいに高校で多くの科目を未履修ならまだしも、たいていの場合、浪人は高校時代にやってきたことを復習する1年になります。多浪となると、何年も何年も同じことを繰り返すことになるのは言うまでもありません。

だからこそ、高校の同級生から聞く話や、教科書や参考書に書いてある事柄、ネットで得る情報などを蓄積し、大学に入れないのに、大学に異様に詳しい人間ができていってしまいます。

大学受験は恋です。情報を仕入れすぎるとその大学の学部に固執してしまったり、行きたくない理由を探し始めたりするという悪影響を受けます。大学に入ってもいないのに、片想いする時間が長すぎて依存メンヘラ化したり、倦怠期が起こったりするのです。

残念ながら、高校生の段階からもうすでにそうした兆候が見られる生徒も確実に一定数います。受験勉強に集中できなくなって、マスターならぬ、ピリリと辛いマスタード味の思い出をつくらないようにしましょうね。

 

全ての誘惑を払いのけ、常に気を引き締める

欲に忠実な人間は多浪する。これ、あるあるof Theあるあるですね。

もちろん、受験生である以上、適度な息抜きは必要です。とはいえ、羽目を外しすぎると本当にロクなことがありません。

「毎日勉強頑張ってるし、たまにはちょっとくらい遊んだっていいか」「大晦日と元日くらいはテレビ番組見てもいいだろう」
「今日くらいは自分にご褒美をあげてゲームしよう」

こうした考え・行動は非常に危険です。なぜかというと一度緩んだものはなかなか修復できないからです。

強烈な甘い蜜を一度味わったが最後、奥まで引きずり込まれてからめとられます。

私は『カイジ』という漫画が好きなのですが、この作品では主人公・カイジが借金で地下労働施設に入れられ、強制労働をさせられるシーンがあります。

地下労働で得られる代替通貨(ペリカ)はごくわずかです。ほとんどの労働者は柿ピーや焼き鳥といった嗜好品にその通貨を使いますが、彼は節約して地上に出るための資金にしようとしました。この心がけは大変立派です。

しかし、そんなときに誘惑してくるのが悪い大人というもの。必死に自制しようとしているカイジに、作業班の班長・大槻はビールをプレゼントしました。そのビールを飲んでしまったカイジは、禁欲生活をしていたこともあり、ビールのあまりのうまさに衝撃を覚えます。そして、班長が販売する柿ピーや焼き鳥に金銭の大半を費やしてしまい、タガが外れたように豪遊してしまいました。

借金するような根が自堕落な人間は、一度欲望を解放させると我慢できなくなるという習性を、班長は熟知していたのです。

この制限された地下労働施設で受ける抑圧と解放の仕組みは、受験と非常によく似通っている部分があります。

私の知人で、高校時代に真面目に勉強して、浪人せずに難関国立大学に合格した人がいます。彼は大学を卒業した後、医学部に入り直そうとして再び勉強を始めましたが、なかなか単調な受験生活に身が入りませんでした。そのような感じだったので当然、試験は不合格。受験を失敗した彼は私にこう言いました。

「遊びを覚えてしまったからもう無理かな」

お酒や合コンを知ってしまった彼は、もう高校時代のようにまっすぐ勉強を続けることはできなくなっていました。

この例のように、大人になってからもう一度受験をすることは本当に大変なのです。私の知人で現状に不満を持ち、再受験を決断した人は彼の他にも一定数いますが、最後まで成功させた人はほぼいません。

メディアで披露されたりネットに転がっていたりする再受験体験談は本当にごく少数の、鉄の意志を持っていたがゆえに成功できたものなのです。

私が大人になってからも働きながら受験生活を続けることができたのは、遊びらしい遊びをした時期がなく、毎日目の前のことに真剣に取り組み、必死に生きてきたからだという自負があります。9年間で勉強をやめていた時期がないからこそ、できたことでした。

一度でも欲望を解放させたが最後、もう少し、もう少しと悪魔がつけ込み、あなたの精神を蝕むしばんでいきます。

現役生の皆さんも、テレビやYouTubeを見たりゲームをしたりすることがあるでしょうが、のめり込まないように注意が必要です。本当に勉強にだけに集中できる環境や気力は、10代の今しかないのですからね。

 

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