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人はなぜ、電車に乗り込むといちばん端の席に座ろうとするのか

2017年03月30日 公開

電車に乗り込むと、いちばん端の席に座ろうとするワケ

駅に電車が到着すると、我先にと乗り込んだ人がいちばん端の席に陣取る光景は毎度おなじみですね。始発駅でも両端から席が埋まり、次に中央、それから互いに間をあけるように均等に座るパターンが見られます。

もしもがら空きの車内で端に座る人のすぐ横に腰を下ろしたら、不可解な行動として警戒されます。端の人が移動しようと席を立つことも多いはずです。

「できれば知らない人とくっついて座りたくない」
「隣の人と少しでも間をあけないと不快」

こうした人間の心理は、「パーソナル・スペース」の概念で説明できます。

パーソナル・スペースとは、自らの体の周囲の縄張り空間のこと。人は誰でも自分のまわりに一定の空間を保持しようとし、そこに他者が侵入すると不快に思い、警戒するのです。

パーソナル・スペースの大きさは、その時の状況や相手などによって異なります。たとえば恋人とはべったりくっついても、同僚とはもう少し間を置き、知らない人とはさらに距離を置くといった具合です。

相手が見知らぬ人である場合、一般的に、パーソナル・スペースは3メートルとされています。このため、電車の座席では互いに距離をとって座ろうとするのです。端から席が埋まるのは、すぐ隣に他人が座ったとしても片側だけは縄張りを維持できるからです。

両側のパーソナル・スペースを侵害される不快感から逃れ、少しでも落ち着いていられる状況に、無意識のうちに身を置こうとしていると説明できます。

満員電車で立っている場合は、あらゆる方向を他人に囲まれ、パーソナル・スペースどころではなくなります。通勤ラッシュが疲れるのは、押されたりする苦痛に加え、縄張りが侵害され不快感が高まるためだといえます。誰もがイライラし、落ち着かなくなるため、嫌悪感が募ってちょっとしたことでトラブルが起こりやすい状況となります。

公衆トイレの男性用の小便器の使われ方にも、電車の座席と同じ傾向が見られます。端が使用中であると、次に来た人は間をあけた小便器を使おうとします。空いているのにあえて隣に人が来られたら、途端に警戒するでしょう。

女子学生を被験者としたフィリップとソマーは、図書館を舞台とした実験をしました。女子学生が席に座っていると、ガラ空きなのにすぐ隣に男子学生が座るという実験です。女子学生は肘をついたり、椅子をずらしたりしますが、それでも落ち着かず、7割の人は30分も経たないうちに席を離れました。縄張りを侵害される行為は、それくらい耐えがたいものなのだと覚えておきましょう。

ただし、パーソナル・スペースは男女や性格によっても異なります。物事にこだわらない開けっ広げの人は領域が狭いのに対し、気難しく神経質な人は広い縄張りを必要とし、文字通り人を寄せつけません。暴力的な人は一般的なパーソナル・スペースの2倍程度を必要とするとした研究もあります。

また、文化による違いも認められ、日本では欧米よりパーソナル・スペースが広いといわれます。人との距離を詰めるのは少しずつにしましょう。

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