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同期と比べて出世が早い、遅いを、いつも気にしてしまう人の心理

2017年05月14日 公開

和田秀樹 (精神科医)

「損」と「得」の心理学

「同期」と比べるより、目標クリアの戦略を

サラリーマンや公務員のなかには、同期と比べて「出世が早い、出世が遅い」ということをものすごく気にする人がいます。官僚組織などは、その典型と言っていいでしょう。

同期と比べるのは、自分の参照点を同期に置いているということです。本来は、参照点はどこに置いてもいいはずです。「同期」でなく、「先輩」でも「他の会社の人」でもいいはずですが、なぜか「同じ会社の同期」「同じ省庁の同期」を参照点にしてしまいがちです。

「得」か「損」かは、参照点が基準になります。「同期より出世する」とうれしい気持ちになりますが、「同期より昇進が遅れる」と、「負けた」「損をした」という感覚が強くなり、ものすごく落ち込んでしまったりします。

同期より昇進が遅れていても、他の会社の人と比べればすごく上にいるのかもしれないのに、自分が決めた参照点より下にいると、そうは思えないのです。「参照点をどこに置くか」というのは心理状態を左右する非常に重要なポインです。

参照点を同期に置いてしまうのは、子供のころから同級生と比べる習慣が身についてきたためではないかと思います。偏差値も同級生と比べる習慣を助長しています。

私は、受験指導では「同級生と比べるな」「偏差値を気にするな」と言っています。

「東大に合格するには、偏差値をもっと上げなければいけない」と考えている受験生は、合格する可能性はあまり高くなりません。他人と比較することは、合格のための戦略として一番意味のないものです。

私は受験生には、「東大に受かるには、二次試験の440点満点中、240点をとればいいんだよ」と指導しています。他人と比べるのではなく、合格点をクリアするという考え方です。

すると、240点をとるために、「国語は苦手だから点数をとれなくてもいい、その代わりに英語と数学で何点を稼ぐ」という具体的な戦略が立てられます。

他人と比べて「勝った」「負けた」ではなく、基準値をクリアできるかどうかが重要です。近視眼的な子は、クラスの頭のいい子をライバル視したりしますが、その子が合格の基準値になるはずがありません。

同級生を基準にする子は、同級生に「勝った」「負けた」で一喜一憂してしまい、本当の目標を見失いがちです。合格点を基準にする子は、目標をまっすぐに見据えて、合格に近づきます。

社会人の場合なら、「同期」を基準にすると、「勝った」「負けた」と気になって仕事の成果を上げることに集中できなくなります。「自分の決めた仕事上の目標」を本当の基準にして、それをクリアできるように戦略を練ったほうがいいでしょう。

iyashi

著者紹介

和田秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

1960年、大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長。著書に、『感情的にならない本』『自分は自分 人は人』(以上、新講社)、『不安にならない技術』(宝島社)、『心と向き合う臨床心理学』(朝日新聞出版)、『医学部にとにかく受かるための「要領」がわかる本』『すぐに、人間関係がラクになる本』(以上、PHP研究所)、『老人性うつ』『「がまん」するから老化する』(以上、PHP新書)、『うつ病は軽症のうちに治す!』『「思考の老化」をどう防ぐか』(以上、PHP文庫)など多数。

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