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社会

「携帯電話に大手コンビニチェーンも...」日本人が知らない北朝鮮市民の生活

辺真一(「コリア・レポート」編集長)

2011年12月19日 公開 2022年12月26日 更新

辺真一

携帯電話やインターネットはどのくらい普及しているのか?

着実に新時代を迎える携帯電話・インターネット社会。

世界中で携帯電話やインターネットが生活に密着している現代。情報統制の厳しい北朝鮮においても、その風潮は例外と呼べなくなってきている。

実は北朝鮮では、2002年に携帯電話サービスが導入された。当初は官僚や治安要員が取得を許されたが、のちに多くの一般市民も使うことができるようになった。

だが、2004年の「龍川(リョンチョン)駅列車爆破事件」によって事態は一転。その爆破は金正日を狙った暗殺事件と目され、爆発物は携帯電話を利用して起爆させる仕組みだったという。

それを理由に一般市民の携帯電話使用は禁じられ、以来、北朝鮮における普及率は限りなくゼロに近いものになってしまった。

しかし2008年末、エジプトの携帯電話事業者オラスコム・テレコムと北朝鮮の国営企業である朝鮮逓信会社が、北朝鮮の電気通信分野において長期的な協力関係の構築に合意。

その後、平壌に設立された合弁会社が3Gサービスを開始したことで、2009年からは携帯電話新時代が幕を開けている。現在は一般市民が携帯電話を片手に街を歩く光景が、以前よりあちこちで見られるようになった。

携帯電話ユーザーは2009年9月に約7万人、2010年6月に約18万人、そして2010年9月には約30万人を突破し、現在も加速度的な増加を見せている。基地局の整備も進み、居住地の大半で通話が可能な状態だ。

携帯電話の普及が情報統制の緩みにつながる危険性は北朝鮮政府も承知のうえだが、携帯電話事業にはそのリスクをねじ伏せるほどの収益的な魅力があるという。

なお、平均的な携帯電話の価格は日本円で約2万4000円、基本料金は月額約70円が相場とされる。北朝鮮国民にとって決して楽に出せる値段ではないが、若者たちはカメラ機能や音楽機能、動画機能に熱中し、どうにかやりくりしているようだ。

また、インターネットに関しても設備が整ってきた。基本的に国際接続は厳しい状況にあるが、北朝鮮は海外向けウェブサイトを運営している。かつて世界で唯一のネット鎖国と呼ばれていたことを考えると、これは非常に大きな進歩といえるだろう。

ただし、本格的なインターネット時代の到来にはまだまだ時間がかかるようだ。つい最近、北朝鮮当局が北朝鮮内の外国のNGOに対し、NGOに協力して働く北朝鮮国民のインターネット使用禁止を徹底するよう通達を出している。

 

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