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"イキイキしている40代"と"そうじゃない人"との差を生む習慣

斎藤茂太(精神科医/随筆家)

2012年01月11日 公開 2022年12月27日 更新

斎藤茂太

 好奇心さえあれば老けることはない

「青春」とはこころの持ち方

サミュエル・ウルマン、80歳のときの『青春』という詩にちなんで作られた「青春の会」という集まりがあるという話を聞きました。この会の趣旨はサミュエル・ウルマンが述べている「こころの持ち方」を基調としているそうです。

(1)驚異に引かれるこころを持つ
(2)子どものような未知への探求心を持つ
(3)生きることへの興味を持つ
(4)希望と、自信と、情熱を持つ
(5)おくびょうを退ける勇気を持つ
(6)安易に流されない冒険心を持つ

といったものです。「青春とは人生のある期間を意味するのではなく、こころの持ち方をいう---。70歳になろうが、80歳になろうが、90歳になろうが、その人は老いぼれることはない。人は永遠に『青春』を生きているのだ」というウルマンのメッセージが伝わってきます。

ギリシャ悲劇のソフォクレスは70歳で『エディプス王』を完成させました。文豪ゲーテが『ファウスト』を書き上げたのは82歳のときです。日本においては、歌舞伎の鶴屋南北が『東海道四谷怪談』を70歳にして書きました。

滝沢馬琴は、48歳から28年間かけて全180回、98巻106冊の大作『南総里見八犬伝』を書きました。

伊能忠敬は、51歳にして江戸に出て天文学を学び、56歳で日本全土の地図作製を目標として測量を開始、忠敬が74歳で亡くなってからも測量は継続され、1821年、ついに『大日本沿海輿地全図』が完成しました。

 一生チャレンジがつづく社会になる

元国連事務次長の明石康さんは、「これからは一生チャレンジがつづく社会になる」と予言しています。

今までの社会は「いい大学に入れるかどうか」が人生でも最重要のチャレンジだったのが、これからは、人生の中で何度もチャレンジできるようになるだろうというのです。いうなれば、「一生、老いてはいけない社会」とも言えるとしています。

明石さんは、『論語』にある孔子と弟子の会話を一例としてあげています。弟子から「死ということの意味を教えてください」と訊かれた孔子は「私が生きることの意味もまだ知らないのに、なぜお前に死の意味など教えられるだろうか」と質問をはねつけた、というエピソードです。

これほどの旺盛な好奇心があれば、変に老成して悟ったようにはならないだろう、と明石さんは語っています。

人生には自然の四季と同じく青年期という春があり、壮年期という夏があり、更年期としての秋があり、最後に老年期としての冬があるとも明石さんはいいます。

春に花咲き、夏に生長した木の実も、秋に成熟してポトリと落ちます。そして、最終的には土の一部となってまたそこから新しい生命が始まる、「人生もその自然の大きな循環の一部」と明石さんは考えているそうです。

「いきいき脳」を刺激して、「いきいき生活」を実現したら、次はその「いきいき」を具体的に活かす、という段階になります。

明石さんの言うように、「老いてはいけない社会」は、確実に目の前にきているようです。いつでも遅すぎるということはありません。人生を思い切り楽しみましょう。

 

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