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稲盛和夫氏が説く、成功するために最も大事なこと

稲盛和夫(京セラ名誉会長/日本航空名誉会長)

2019年02月22日 公開 2022年12月07日 更新

自然界は一生懸命に生きることが前提になっている

思い出すのは、私の母方のおじのことです。満洲(現中国東北部)から裸一貫で戻り、終戦後、鹿児島で野菜の行商をしていました。

おじは小学校を出ただけの人で、口の悪い親戚の者たちは、「あの人は学問もないし、知恵も足りないから、暑い日でも毎日大きな大八車を引いて、汗をたらしながら行商しているんだよ」と、いくらか軽蔑したように見ていました。

身体の小さなおじでした。そのおじが自分よりもはるかに大きな大八車に野菜を積み、暑い日も寒い日も行商をしているのを、幼い私はよく見ていました。

おそらくおじは、経営とか、商売とか、経理とか、そういうものはまったく知らなかったと思います。しかし、ただ一生懸命に働くということで、やがて大きな八百屋を経営するようになり、晩年まで素晴らしい経営を続けていきました。

学問がなかろうと何がなかろうと、黙々と働く。それが素晴らしい結果を招いていくのだということを、私は子供心に感じていました。

私がなぜ「一生懸命に働く」ということを強調するのかといいますと、この自然界はすべて一生懸命に生きるということが前提になっているからです。少しお金ができたり、会社がうまくいくと、少しはラクをしようという不埒な考えをするのは、我々人間だけなのです。

自然界にそういうものは決してありません。自然界に生きている動植物はすべて、必死に、一生懸命に生きています。そういうことをみても、毎日毎日を真剣に、ど真剣に、一生懸命に働くということが、我々人間にとって最低限必要なことではないかと思うのです。

夏の日照りの中で、道路のアスファルトの割れ目から雑草が芽を出していることがあります。おそらく一週間も日照りが続けば枯れてしまうような、あまり水分もない、土もないようなところです。

自然界ではそういうたいへん過酷な環境の中でも、種が舞い落ちれば、そこで芽を出し、葉を広げ、雨が降ったときに精一杯の炭酸同化作用(光合成)をし、葉を太らせ、そして花を咲かせ実をつけて、短い一生を終えます。また、石垣の隙間、土のない石と石のあいだであっても雑草が芽を出し、花を咲かせるのを、我々は目にします。

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「誰にも負けない努力をしていますか」

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