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稲盛和夫氏が説く、成功するために最も大事なこと

稲盛和夫(京セラ名誉会長/日本航空名誉会長)

2019年02月22日 公開 2022年12月07日 更新

「誰にも負けない努力をしていますか」

さらには、あの過酷な熱砂の砂漠にも、年に何回か雨が降るそうですが、雨が降った直後、たちまちにして芽を出し、葉を広げ、花を咲かせて実をつけ、わずか数週間で枯れていく。

砂漠の中で精一杯に生き、子孫を残すために花を咲かせ、実をつけ、その実を地表へと落とす。そうしてわずか数週間の一生を終えていく。しかし、また来年、いつの日にか雨が降ったときに発芽する。

過酷な条件の中で、植物も動物も、みんなひたむきに必死で生きています。いい加減に、怠けて生きている動植物はありません。その自然界のさまをみても分かるように、地球上に住んでいる我々人間も真面目に、一生懸命に生きることが最低条件であろうと思うのです。

創業当時の私は、そういうことなど知りません。知らないながらも、一生懸命に働かなければ、一生懸命に努力をしなければ、会社の経営はうまくいかないのだろうという恐怖心を抱いていました。その恐怖心から一生懸命頑張ってきたわけですが、今日振り返ってみて、それは決して間違いではなかったと思っています。

どんな不況がこようとも、どんな厳しい環境がこようとも、人一倍努力をしていくということが最低条件なのだということを、私は今でも固く信じています。

いろんな人に「一生懸命に働いていますか」と聞くと、「ええ、働いていますよ」と返ってきます。これではいかん、伝わっていないと思ったので、私は「誰にも負けない努力をしていますか」「誰にも負けないような働きをしていますか」と聞くようにしています。

あなたは自分では働いていると言っているけれども、そんな働きではナマなことです。もっと真面目に、もっと一生懸命に働かなければ、会社でも人生でもうまくいきませんよ。そういう意味で、私は「誰にも負けない努力をする」という表現をしているわけです。

一生懸命に働く、誰にも負けない努力をするのは、自然界に生きているものの当然の義務だと、私は思っています。その義務から逃れることはできません。

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