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「大事なので2回言いました」が発揮する意外な効果

犬塚壮志(士教育代表取締役)

2019年03月06日 公開 2022年07月22日 更新

 

記憶に残りやすい「話し方」の構成要素

私は、塾や予備校で20年近く教えてきました。その中で、生徒が1回の説明で覚えてくれた時と、そうでない時の違いを明らかにすることができました。1回の説明で理解してくれて、さらに覚えてくれる、そんな「説明記憶の方程式」が次式となります。

記憶量=回数×インパクト(感情の刺激)

この式を元に考えると、話した時の相手の記憶量は、話した回数とインパクト(感情の刺激)に比例します。感情に刺激を与えるようなインパクトを持って、繰り返し話す。

これが最も記憶に残りやすい話し方となります。一番伝えたいメッセージを、インパクトをくっ付けて、リピートするのです。

ただ、ここで言う「リピート」というのは、単に、同じ説明を何度も繰り返すだけでは非効率です。刺激的にリピートするのがコツです。相手に“これだけはわかっておいてもらいたい”というところのフレーズだけを切り出し、そこを中心にリピートするのです。

そうしないと、インパクトが薄れてしまうのです。ちなみに、各リピートのインパクトを強めるために私が予備校でよく使っていた前置きのキラーフレーズを紹介します。

「大事なことなので、もう一度言うね」

たったこれだけなのですが、前置きに入れるのと入れないのとでは天と地の差があります。それに、このフレーズを言うだけで、生徒の集中度も一気に高まるのです。

また、少し難しめの内容をしっかりわかってもらおうと話す際、一度の説明ではなかなかわかってもらえないこともあるかと思います。

そんなとき、同じことをリピートしてあげることで、2度目の説明でいきなり理解できてしまうことも実はあるのです。それがリピートの面白いところなんです。

ちなみにですが、1回目の説明ですでに理解してしまっている生徒がいた場合でも、私は次のようなフレーズを使うことで、聴き手の理解度に差がある場合でも、生徒たちに対して効果的な説明を行うことができてました。

「入試に絶対に出題されるところだから、くどいかもしれないけど、もう一回説明するね」

このフレーズを前置きとして話しに入れ込むと、1回目の説明ですでにわかっている生徒であったとしても、「あっ、そのテーマが出題されるんだったら、聞き逃してはマズい!ちゃんと聴いておこう!」こう思わせることができるんです。

結果的に、クラス全体での聴く姿勢が飛躍的に上がるのです。それに、リピートによって、聴き手にメモを取ってもらえる機会も増えます。これは、企業さまの研修を行う時も同じです。

「冒頭で話したことではあるのですが、今日の研修で絶対に持ち帰って欲しいことですので、もう1度だけ言いますね」

このように前置きを1つ入れるだけ、相手に残る印象はガラッと変わるものです。ここまで直接的でなくて構いませんので、本当に伝えたいことは、インパクトを高めながらリピートする意識をしていただければと思います。

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リピートは相手と自分のため

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