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「大事なので2回言いました」が発揮する意外な効果

犬塚壮志(士教育代表取締役)

2019年03月06日 公開 2022年07月22日 更新

 

リピートは相手と自分のため

「同じこと言うのは、なんかめんどうくさいんだよね」、「一回話して覚えないほうが悪いんだよ」、多分、これが本音だと思います(笑)。ここだけの話、私も講師として日が浅いときにはそう思っていました。

ただ、実際問題として、一回の説明で覚えてもらったり、わかってもらわなければ、また別の機会にもう一度説明し直さなければなりません。

翌日や翌週に、もう一回まったく同じ説明するというのは、ムダ以外の何ものでもありませんよね?逆に、一回の説明で正確に伝わって、その内容を覚えてもらったら、明らかな時間コストの削減につながります。

つまり、わかりやすいコミュニケーションというのは、相手と自分のためでもあり、ひいては会社組織のためにもなるのです。だからこそ、1回の説明の中におけるリピートは、相手のためであると同時に、自分のためでもあるのです。

 

短期記憶から長期記憶へ

ここからはリピートのメカニズムについてお話しします。もしご興味はない方は、次のページに飛んでいただいても構いません。

実は、リピートをすることで、その話の内容(情報)が短期記憶というものから長期記憶というものに移動しやすくなるのです。教育心理学の世界ではよくいわれていることなのですが、記憶には短期記憶と長期記憶というものがあります。

新しく取り入れた情報(知識)をずっと保持して使っていくためには、短期記憶にいったん貯蔵されたその情報を、長期記憶のほうに移すプロセスが必要になります。

この長期記憶に移していくためには、その情報の理解をしながら反復を行うことが必要なのです(このときのプロセスを「精緻化リハーサル」といいます)。こうして新しい情報が長期記憶に移され、知識として保存されるのです。

 

初めての話は、「ちょっとくどいかも」くらいがちょうどいい

「また同じ事、言ってるよ」、そう思われたくない心理からも、リピートへの抵抗が生まれるのだと思います。ただ、そもそも、話し手が伝えようとしていることは、話し手の中にすでに長期記憶として保存されています。

しかし、その内容を初めて知る、いわば「情報初心者」は、こちらが1回話しただけどと、その内容は短期記憶にいったん収納されますので、とても抜けやすいのです。伝える側は、すでに理解できていて、長期記憶にある内容なので、そうそう頭の中から抜けることはありません。

そのため、「情報初心者」である聴き手からその内容が簡単に抜けてしまうことがイメージしにくいのです。

自分が「ちょっとくどいかもなー」と思うくらいが、初心者である聴き手にとっては、本当はちょうどよかったりするのです。だからこそ、新しい情報を伝える時には、「繰り返さないと相手の頭に残らないことが大前提」と心していただければと思います。

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