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社会

「一斉休校」よりも「大人が外出自粛」すべき?…専門家の試算結果

大日康史,菅原民枝

2020年03月19日 公開 2020年03月19日 更新

 

「パンデミックが起きてから考える」では遅い

もちろんこうした対策は、実行できてこそ意味があります。外出自粛を容易に実施するためにも、またそこで生まれる損失を圧縮するためにも、さまざまな工夫が必要です。

在宅勤務ができる社内的な態勢を整えることもそのひとつでしょう。インターネットを通じて業務ができる環境や、電話会議やテレビ会議を行う設備を整えるには投資が必要ですが、従業員の健康と安全を守り、かつ企業の業務停滞を最小限抑えるには必要な投資でしょう。

逆に在宅勤務ではなく、職場にとどまり続け、通勤をしない、という方策も考えられます。たとえば 2週間ずつ交替で職場にとどまり続けることができれば、事実上外出自粛を実現することになります。実行するためには、それなりの居住環境を職場、あるいは職場に隣接する場所に設置し、食料品をはじめ日用品を供給する態勢も必要になってきます。

休校についても、長期にわたり漫然と学校を閉鎖するわけにはいきません。学校には集わないながらも、教育を提供し続けることができるような体制を整備しておくことが必要です。

平成20年11月20日に公表された「個人、家庭及び地域における新型インフルエンザ対策に関するガイドライン」では備蓄の目安は2週間とされていますが、パンデミックの発生から終息までの期間としては決して十分ではありません。これはパンデミックの性質、特に死亡率やワクチンの有効性などを見極めるために最低限必要な期間と理解すべきです。

いずれにしても、実際に2週間分の食料を備蓄するとなると、かなりのスペースが必要になります。最悪の場合を考えて、電気・ガスの供給が止まるような事態も想定しておいた方がいいかもしれません。

流行期間を考えると、パンデミックの全期間自宅にとどまるためには、最低でも2カ月間の準備が必要になります。2カ月分の食料備蓄が非現実的となると、パンデミックの最中に食料などの買い出しの必要が出てきます。外出することなく食料や日用品の提供が受けられる宅配サービスを整備しておくなど、さまざまな対策を考えておく必要があります。

ひとつ確実に言えるのは、パンデミックが発生し、いざ外出自粛や休校となってから在宅勤務態勢や教育の在り方を検討し始めても遅いということです。検討の成果を活用できるようになる時には、パンデミックは終息していることでしょう。

平時のうちから在宅勤務態勢や休校時の教育の提供態勢について考え、準備し、整備しなければ間に合いません。備蓄についても、パンデミックが始まってから買いに行ったのではパニックを加速させてしまいます。

パンデミック対策については国や自治体も準備をしていますが、未知の感染症に対して、どのような対策に実効性があるかはそもそも不確実です。

SARS並の10%という高い致死率の感染症の脅威にさらされる可能性もゼロではありません。もはや自分の家族や企業は自分たちが守るしかなく、そのための準備は普段からしておく必要があります。

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