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“教え上手な人”が使う「相手の記憶に残る話し方」

PHPオンライン衆知

2020年11月06日 公開 2023年01月10日 更新

PHPオンライン衆知

人の名前を忘れないためのコツ

先にお話しした通り、何かを記憶するには分散学習が効果的です。一度にすべてを覚えることはできませんが、2回目、3回目と回を重ねるほど明らかに覚えやすくなるので、忘れることを気にせず、そのとき、そのときに覚えればいいのです。

さて、分散学習の方法ですが、ただやみくもに繰り返して覚えるのは、効率良くありません。たとえば、英単語を覚えるのに、単語カードを使うことがよくあります。しかし、ただ英単語とその日本語訳を見るだけでは、記憶が定着しないのです。

では、「記憶したことを忘れないようにしたい」と相談されたら、どう教えればいいでしょうか?

それには、覚える内容をいろいろな角度から検討して、すでに知っている知識に関連づけて覚える方法が効果的です。

たとえば、人の名前を覚える場合、「岡山恵実」という名前であれば、「岡山」は「岡山県」に結びつけて、岡山さんが岡山県に旅行するイメージを作ります。これで名字が覚えられました。

次は「恵実」という名前ですが、これを「笑み」に結びつけて、恵実さんが微笑んでいる顔をイメージします。「えみ」という名前には「恵美」という漢字もありますので、「だんご(実)を食べている」というふうに結びつけます。

こじつけでもなんでもいいのです。名前を何かに関連づけてイメージすることが大切です。

以上をまとめると、岡山恵実さんが、岡山県に行って、だんご(実)を食べて微笑んでいるところをイメージします。これで名前を忘れなくなります。ついでに漢字も間違えなくなるでしょう。

 

教え上手は「相手が記憶しやすい方法」にあわせて話している

記憶する場合には、大きく分けてふたつの方法があります。

ひとつは、「耳で聞いて覚える方法」、そしてもうひとつは、「目で見て覚える方法」です。

もちろん、普通は、耳で聞いて、目で見て覚えるというように、聴覚と視覚の両方を使って記憶します。

しかし、人によって、聴覚のほうが強く働く人もいれば、視覚のほうが強く働く人もいます。つまり、耳で聞いたことが強く残る人(聴覚優位)と、目で見たことが強く残る人(視覚優位)がいるのです。

その人が聴覚型なのか視覚型なのかを探ることは、そう難しくありません。その人と話をしているときに、出来事の話し方に注目すればわかります。

出来事を話すときに、時系列に沿って流れるように話す人は、聴覚が強く働くタイプです。

「去年、屋久島に行ってダイビングをしたよ。その日の夜、浜辺で寝転がって一晩中夜空を見ていたんだ。都会では決して見られない満天の星空で感動したよ」といったように物事が起こった順番通りに話をします。

このタイプの人は、そのとき誰がどんな話をしたのかまでよく覚えているので、会話をそのまま再現することができたりもします。

一方、視覚のほうが強く働く人は、出来事を話すときに、その場面場面を切り取ったような話し方をします。話す順番は、印象の強い場面からです。

たとえば、「あの満天の星空は、感動ものだったよ」と突然思い出したように言ったりします。周りの人は「えっ? いつのこと?」などと聞き返します。すると「去年、屋久島に旅行したときのことだよ」といった具合です。

教える相手はどんな話し方をするのかを観察して、聴覚型なのか視覚型なのかを判断し、その人のタイプに合わせた方法で教えるといいでしょう。

どんなふうに教えればいいかというと、聴覚型の人には、物語を聞いているかのように語って教えてあげます。すると、いつまでも記憶に残ります。

一方、視覚型の人には、図を描いたり、グラフを描いたりしてあげましょう。実際にその物を目で見たりしたほうが頭にスッと入ってくるものです。

同時に、自分自身が、聴覚型なのか、あるいは視覚型なのかということも、認識しておくとよいでしょう。

というのは、教える側は、つい自分の教えやすい方法で教えてしまうからです。

自分の得意な方法だけで教えるのではなく、相手のタイプに合わせた方法で教えることができるようになると、教えられる人の理解も早くなり、上手に教えることができるようになります。

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