スネ夫といえば、何かと「自慢話」をするキャラクターとしておなじみです。ところが、その内容を脳科学の視点から見てみると、脳を鍛えるためのヒントが隠されているといいます。
富山大学人間発達科学部名誉教授の横山泰行さんは、スネ夫の「旅自慢」に注目し、そこに脳を活性化させる要素があると読み解きます。書籍『ポケット版「スネ夫」という生きかた』より紹介します。
※本稿は、横山泰行著『ポケット版「スネ夫」という生きかた』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
スネ夫のように旅を楽しめば、脳を鍛えることができる!
スネ夫の数ある自慢話の中でよく見かけるパターンは、「新製品自慢」です。
次いで多いのは、なんといっても家族との「旅自慢」でしょう。九州まで船で旅したり、「サッポロラーメンを食べたい」と突然飛行機で北海道へ向かったり!もちろんハワイ、フランスなどの海外にも行き慣れています。SL(蒸気機関車)に乗りに行ったり、ブルートレインでの旅など、鉄道マニアが泣いて喜びそうなエピソードも出てきます。
「ひんぱんに旅を楽しむライフスタイル」というのは、庶民にはなかなかマネできることではありませんよね。中でも、私がとてもうらやましく感じた、実に「おいしそうな旅自慢」をご紹介しましょう。
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道端でスネ夫が大きく舌を出し、両手を思いっ切り広げながら、みんなを前に自慢をしています。
「松たけ山へ行ったんだ。も~、とりほうだいの食べほうだい。土びんむしやら、やき松たけ。松たけめしに、すい物......」と、松たけ三昧の旅を報告しています。
「とりたてだからさ、香りも舌ざわりもなんともいえないんだ。腹いっぱいたべちゃった」と、食欲が大いに誘われるムードの中で話を展開させました。
みんなはうらやましさのあまり、とても渋い顔をしながら聞いていました。のび太はよだれを1本、ジャイアンに至ってはよだれを3本もだらりと垂らしながら、スネ夫の松たけ話にすっかり魅了されてしまいました。
スネ夫は、ワンパターン化した「きみたちもぜひいくといいよ。いや、高いからむりかな。アハハハ アハハハ」というイヤミな決めゼリフで、自慢話をガッチリと締めくくりました。
『てんとう虫コミックスドラえもん 第38巻』小学館
第15話目「箱庭で松たけがり」
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「香りも舌ざわりもなんともいえない」だなんて、スネ夫は五感に訴えるトークがうまいですね。私だって、おもわずよだれを垂らしてしまいそうです。
実は、「旅が脳を鍛えてくれる」という脳科学の説があります。脳科学者の池谷裕二さんと糸井重里さんの共著『海馬 脳は疲れない』に、こんなくだりがあります。
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何も無い環境にいたネズミを刺激的な環境に移すと、数日で海馬(※1・ごく簡単に言うと、海馬は記憶の製造工場)が増えます。逆に刺激のある環境からなにもないところに移すと、ネズミの海馬は数日でダメになります。
海馬にとって一番刺激のあるものは空間の情報です。つまり、旅をするほど海馬に刺激が与えられると推測できます。海馬は「新しい環境はストレスではないんだよ」と自分に伝える役割をするのです。
(糸井重里・池谷裕二『海馬 脳は疲れない』(朝日出版社)より引用)
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おそらく、スネ夫の脳は多くの旅から多くの刺激を受けて、鍛えられていると思われます。
「うちも子どもの脳を鍛えるために、どんどん旅に連れて行ってやりたいけれど、そんなお金なんて無いわよ!」という方も多いでしょう。そんな場合は、リアルな旅ではなくて空想の旅(「エア旅」とでも言いましょうか)でも、「脳を鍛えるのに効果的」という説があります。
インターネットやガイドブックなどの情報に接して、「行った気分になる」というのも、少なからず海馬への刺激になるのだとか。ただし、目から(視覚)のみの刺激ですので、リアルに旅をして、五感をフル回転させるほうがよりよいことは、もちろんです。確かに「香りも舌ざわりもなんともいえない」なんていうスネ夫のセリフは、現地で実際に食べていないと、大人だってなかなか実感をこめては語れないでしょう。
みなさんもぜひ、旅を楽しんでみてください。情報ツウになるというオマケもついてきて一石二鳥です。近場への日帰り旅行でもいいでしょう。
「旅すると、アタマがよくなるらしいよ」とパートナーや家族を誘って出かけてみては、いかがでしょうか!?
(※1)「海馬」大脳辺縁系の一部である海馬体の一部。脳の記憶や空間学習能力に関わっている。哺乳類の中枢神経系の中で、最も研究されている脳領域の一つ。








