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壮絶な夜戦!第三次ソロモン海戦~「比叡」乗組員の証言

2017年11月12日 公開

歴史街道編集部

ソロモン海

第三次ソロモン海戦がはじまる

今日は何の日 昭和17年(1942)11月12日

昭和17年(1942)11月12日から15日にかけて、第三次ソロモン海戦が起こりました。壮絶な夜戦が展開された戦いとして知られます。今回は海軍士官で戦艦比叡に乗って海戦に参加した、関野英夫さんの回顧を中心にご紹介してみましょう。

同年8月にアメリカ軍の反攻が始まり、ガダルカナル島に大軍が上陸。日本の陸軍部隊は補給も途絶え、孤立します。日本側は兵員を乗せた輸送船団を送って奪回を図ろうとしますが、ガ島の飛行場からの敵機の空襲にあい、大損害を出すに至りました。そこで海軍は10月、夜間に戦艦金剛、榛名をガ島に派遣、艦砲射撃によって敵飛行場の壊滅を狙います。戦艦の砲撃によって飛行場は一時的に機能を喪失したものの、ほどなく回復し、ガ島周辺の制空権は依然、アメリカ軍が握りました。そこで日本海軍は再度、戦艦による夜間艦砲射撃を実施すべく、戦艦比叡、霧島を中核とする、艦隊(戦艦2、軽巡洋艦1、駆逐艦11)を派遣します。指揮官は阿部弘毅中将(第十一戦隊司令官)でした。

日本海軍の動きを察知したアメリカ海軍は、重巡2、軽巡3、駆逐艦8の布陣で待ち構えます。両者が激突するのが、第三次ソロモン海戦の初日の夜戦でした。この時、第十一戦隊通信参謀の関野さんは、戦艦比叡の艦橋最上部に詰めていました。 「真っ黒な水平線を見つめていると、水平線にパパパッと光が走った。すぐに敵艦の主砲の発砲だとわかった」と語っています。この直後から、「バケツの中をかき回したような」と表現されるほどの、太平洋戦争を通じて一、二を争うほどの激しい夜戦が始まりました。

戦艦比叡は味方の攻撃を支援すべく、サーチライトを点灯して敵艦を浮かび上がらせていました。しかしこのために敵艦からの格好の標的となり、次々に狙い撃たれます。やがて、敵の砲弾が艦橋に命中しました。「アッと思ったら足の下、艦橋の真ん中に砲弾が命中して、艦橋が燃え始めた。火には追われるし、降りることもできない。進退窮まって、信号ヤードの細い信号索を伝って、20mぐらいの高さから甲板へと降りた」と関野さんは語っています。なにせ30隻近い敵味方の艦艇が、4~5km四方ぐらいの至近距離で、砲撃し合い、魚雷を撃ち合うわけですから、凄まじい激戦でした。関野さんはこうも語っています。

「アメリカの駆逐艦が、目の前まで突っ込んでくる。舷側から身を乗り出して下を見ないと見えないぐらい、肉迫してくるのです。あまりに近いので砲撃も雷撃もできません。何と両者機銃を撃ち合いながらすれ違います。敵の弾は青っぽく、日本のは赤っぽかった。闇夜に機銃弾が飛び交うと、綺麗なもんでした。それにしてもアメリカ人はすごいなと思いました。日本の駆逐艦はあそこまでは突っ込みません」

この戦いで戦艦比叡は沈没、太平洋戦争を通じての初めての戦艦喪失でした。2日後の夜戦では、戦艦霧島をはじめとする艦隊がアメリカの新造戦艦サウスダコタ、ワシントンなどを相手に戦い、サウスダコタを戦闘不能にしますが、霧島は沈没しています。結局、第三次ソロモン海戦で日本海軍は2隻の戦艦を失い、作戦目的も達成できず、ガ島は日本軍にとって、餓島化していくことになりました。

戦後、関野さんは、アメリカの安全保障研究会に参加することになり留学、アメリカ海軍ともつながりが増えました。帰国後は内閣調査室に勤務、軍事評論なども行なっています。 ある時、復帰前の沖縄にアメリカの潜水艦が入り、関野さんはそれに立会います。基地の夕食のパーティーでスピーチを求められた関野さんは、こう話します。

「我々日本海軍軍人だった者は、米海軍がいかに勇猛で突撃精神を持っているか、またどのような任務にも全力で向かうことを知っている。だから米海軍は信頼できると思っている」

すると米軍側はこう答えたといいます。

「我々も日本海軍が、どんな困難な任務でも命をかけて最後までそれを果たす海軍であることをよく知っている。だからこそあなた方を信頼できると思っている」

パーティーの場の社交辞令というより、戦場でまみえた者同士のみがわかちあえるものを感じます。

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