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パックン流・相手の心をつかむ話し方

2015年05月14日 公開

パトリック・ハーラン(タレント)

「伝える力」のポイントは3つの要素と「ストーリー」

 

お笑い芸人やコメンテーターとして活躍するパトリック・ハーランさん(パックン)は、ハーバード大卒という経歴でも有名で、池上彰氏の推薦によって東京工業大学でコミュニケーション論を教えている「伝え方の達人」だ。
「話し方とは才能ではなく、練習により誰にでも身につけられるスキル」と語る、パックン流の「ツカむ話術」について教えていただこう。
<取材・構成 西澤まどか 写真撮影=永井 浩>

 

「話し上手はモテる」この発見から始まった

テレビ出演や大学講師など、人前で話す機会が多いパックンだが、その「伝わる話し方」には定評がある。話し方について意識し始めたのは、中学生の頃だそうだ。

「子供の頃から目立ちたがりで、クラスでプレゼンの機会があると、必ず立候補していました。人前で話すことはその頃から好きでしたが、話し方やコミュニケーションについて意識して考えたのは、中学校に入ってからでした。『女の子からモテたい!』と思って、すでにモテている人を観察して、その言動を真似しようと考えたことがきっかけです。
その結果、モテる男には共通点があることがわかりました。笑顔が素敵、誰とでも楽しく話して仲良くなれる、そしてよく笑わせる。つまり、コミュニケーションを大切にしている人がモテるのです。
そのことを論理的に説明できるようになったのは、ずっと後になってからです。相手に伝わり、心をつかむ話し方には、重要な3つの要素があるのです。それは、ギリシャの哲学者アリストテレスも唱えた話術の基本である、『エトス・パトス・ロゴス』です」

この3つの要素を用いれば、誰でも自然と耳を傾けたくなる話になるという。
まず、「エトス」とは、人格的なものによる説得要素のことだ。人柄や立場、経歴などがエトス度を高めてくれる。

「たとえば、職業や地位、肩書きなどがわかりやすい例です。専門家なら、その分野の話に説得力が増しますよね。仕事で取引先にお願い事をするときなど、上司が一緒だと説得力が増すということもあるでしょう。権力と責任ある立場の人が出ることで、信憑性、信頼性つまりエトスが上がるからです。
僕の場合は、ハーバード大学卒であること、テレビに出演していること、東京工業大学でコミュニケーション論を教えていることなどによって、こうして『話し方』について語る際に、説得力が増すのです」

 

「弱み」も、話し方の武器になり得る

エトスを利用した話をするには、自分の強みとなるのは何かを考えてみると良い。強みがなかなか見つからないという人もいるかもしれないが、弱みもまた武器になると言う。

「たとえば、僕たちお笑い芸人にとっては、ネタが滑ったときはピンチです。しかし、それを自覚した時点で、滑ったことを逆に武器にすることもできます。『徹夜で考えたギャグなのに、思ったほどウケなかったね!』などと、滑ったことを認めたうえで、次の話題のきっかけにするのです。
人前で話すときに緊張しているのなら、それをそのまま伝えてもいいのです。『今日はとても緊張していますが、皆さんに聞いていただきたいことがあるので、頑張って話します』と。そうすれば、聴衆は応援しようと思ってくれるかもしれません。
また、相手の話が理解できないことも弱点ではありません。『その専門用語がよくわからないのですが……』などと、自分から会話に切り込むための良いきっかけになります」

弱さも強さもまず〝自覚〟するところから始まる。自分が何を話しているのかを見失ってしまったとしても、それを自覚した時点で口に出すのもありだ。

「話しているうちに、自分が話したい内容と違う方向に行ってしまったとしたら、『話が脱線してしまいましたが……』と言いましょう。そこから、主張したい内容に戻ればいいのです。
今、〝脱線〟と表現しましたが、そもそも会話に線路はありません。自分で好きな方向へ広げられるのです。道は自分で作るもの。自分を4WDだと思って、道筋を自分でつけるつもりで話してください。
話す態度もエトスに含まれます。自信を持って堂々と話すことで、説得力が増すと言えます。そのためにまず意識すべきなのは、相手の目を見ること。複数の人と話すときも全員に目を配るようにすると、相手はそれぞれ『自分に向かって話してくれている』と思い、そこに仲間意識が生まれます。仲間意識が生まれるということは、反論が少なくなるとも言えます。
コミュニケーションの基本は、お互いに『わかり合っている』という意識ですから」

 

印象に残りやすいストーリーを組み立てる >

iyashi

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