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ビジネスマンにとって「雑談力」こそ最強の武器だ

2016年05月24日 公開

齋藤 孝(明治大学教授)

雑談は人生すらも左右する!

 

「雑談力はビジネスマンにとって必須の能力」と語るのは、明治大学文学部教授の齋藤孝氏。雑談には人間関係を円滑にする潤滑剤というイメージがあるが、それだけに留まらず、実はビジネスマンの一生を左右するほど重要だという。雑談の大切さと、話が苦手な人でも雑談がうまくできる方法をうかがった。

 

雑談はビジネスマンの「リトマス試験紙」

 雑談はビジネスマンの「リトマス試験紙」のようなものだと齋藤氏は言う。

「顧客や取引先と初めて対面するとき、相手は『この人は本当に信用できるのか』と警戒しています。その判断材料としてよく使われるのが雑談なのです。

 立て板に水のような営業トークができる人でも、仕事と関係のない雑談を投げかけて30秒も話せば、『意外と礼儀ができていない』『感じが悪い』『社会性がない』などということが見えてきて、『この人とはつきあわないほうがよさそうだ』と判断されることがあります。営業トークではわからなかった意外な人間性が出てくるわけです。それは、雑談の内容というより、表情や話し方に現われます。

 つまり、その人の30年、40年という長い人生が、わずか30秒で見透かされてしまう。雑談とは非常に恐ろしいものなのです」

 逆に言えば、雑談がうまくできれば、仕事上の人間関係を築くのに役立ち、仕事に好影響をもたらす。

「雑談をしていると、お互いの人となりが見えてきて、心の距離が縮まっていきます。長時間話し込まなくても、会うたびに30秒~1分程度、雑談をするぐらいで十分です。

 こうして良好な人間関係を築いていれば、その効果は計り知れません。たとえば、何か急なお願いごとをしたときでも、『◯◯さんのお願いなら仕方ないな』となりますし、トラブルが起こったときでも『ああ、いいよ、カバーしておくよ』となります。このような関係にある人を増やせば増やすほど、仕事がやりやすくなります」

 ところが、社内の同僚ともメールでやり取りすることが当たり前になった今では、雑談で人間関係を築かないまま仕事をするケースが増えている。

「すると、何か急なお願いごとをしても、『なんで私が急いでやらないといけないんだ!』と拒否されたり、トラブルが起こったときに『面倒なことをしやがって!』と文句を言われたりします。
 そもそも、仕事をお願いするときには、気心が知れている人に頼みたいものです。圧倒的なスキルがあるから仕事をお願いしているというケースは稀で、たいがいは人間関係で仕事が回っています。ですから、雑談をしないのは非常にもったいない。雑談力を高めて、積極的に人と交流しましょう」

 

雑談がうまいことは「話し上手」とは関係ない >

iyashi

著者紹介

齋藤 孝(さいとう・たかし)

明治大学文学部教授

1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーンョン論。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社文庫、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『読書力』(岩波新書)、『日本語の技法』(東洋経済新報社)、『雑談力が上がる話し方』『雑談力が上がる大事典』(以上、ダイヤモンド社)、『三色ボールペンで読む日本語』(角川文庫)、『5日間で「自分の考え」をつくる本』(PHP研究所)、『プレッシャーに強くなる技術』(PHP文庫)、『1分で大切なことを伝える技術』『すぐに使える! 頭がいい人の話し方』(以上、PHP新書)、『上昇力!』(PHPビジネス新書)など多数。

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