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ワイン初心者がプロに聞きたい10の質問

2016年04月24日 公開

大越基裕(ワインテイスター/ソムリエ)

気になっていた「ワインの疑問」を解消しよう

ビジネスマンのたしなみとして、「ワイン」について語れるようになっておきたいもの。ただ、初心者にとって、ワインの世界は謎だらけ。お店の人やソムリエに聞きにくいことも多いはずだ。そこで、多くの人が疑問に思いがちな10の質問を、世界を股にかけて活躍するソムリエにしてワインテイスターの大越基裕氏に聞いてみた。

 

Q1 「ワインの知識ゼロ」なのですが、何から始めればいいですか?

A  まず、赤と白のブドウ品種を2つずつ覚えましょう。

まずはブドウの「品種」に着目して、自分の好みを探ってみましょう。世界中でさまざまなブドウが使われていますが、初心者が自分の好みの傾向を知るには、対照的な2種を飲み比べるとわかりやすいはず。

お勧めは、白なら「ソーヴィニヨン・ブラン」と「シャルドネ」。前者はフルーティでドライ(辛口)な味わい、後者はコクのあるタイプです。赤なら「カベルネ・ソーヴィニヨン」と「ピノ・ノワール」。前者はしっかりとした渋味があって重めのタイプ、後者は酸味があって軽やかなタイプ。これらを飲み比べれば、「白なら同じ辛口でもフルーティなものよりコクがあるほうがおいしい」「赤なら重めより軽めのほうがいい」といった自分の好みがつかみやすいと思います。

 

Q2 ワインは生産地によって、どんな違いが出るのですか?

A 気候により違いが出ますが、「どちらが上」ということはありません。

同じブドウ品種でも、国や地域によって味わいが異なります。たとえばシャルドネは世界各地で栽培されていますが、飲み比べてみれば初心者でも明らかに風味の違いに気づくほど。産地による個性を楽しめるのも、ワインの面白さです。

味の違いが生まれる理由はさまざまですが、大きいのは気候です。近年、チリやアルゼンチンなど南米のワインの評価が高まっていますが、これらの地域は気候が安定しており、人件費などのコストも安いので、手頃な価格でクオリティの高いワインが生まれています。ワインはフランスが最上で、それ以外は質が低いと考える人もいますが、それは大きな誤解。ワインには地域による個性はあっても、貴賤はありません。

 

Q3 ワインの味や香りがどれも同じようで、違いがよくわかりません。

A まずは「酸味」と「渋味」を意識してみてください。

ワインの個性は、主に「渋味(タンニン)」「酸味」「果実味」で表現します。このうち、初心者にもわかりやすいのが「酸味」と「渋味」(渋味は赤ワインのみ)。まずはこの2つが「強いか、弱いか」を意識してみましょう。

この2つがわかるようになったら、「果実味」にも着目。これは正確には味ではなく"フレーバー(風味)"なので、ワインを口に含んだときに鼻に届く香りを意識してください。たとえば白ワインなら、マンゴーのような甘みの強いトロピカルフルーツ系、リンゴや梨のように甘さ控えめの果実系、ライムのようにフレッシュな柑橘系など、幅広いフレーバーを感じられるはず。これらを意識するうちに、自分なりの表現ができるようになるはずです。

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Q4 やっぱり価格が高いワインほどおいしいのですか? >

著者紹介

大越基裕(おおこし・もとひろ)

ワインテイスター/ソムリエ

1976 年、北海道生まれ。日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ。国際ソムリエ協会認定ソムリエ ディプロマ。1999年、ワインの奥深さに魅了されて渡仏。帰国後、2000 年にソムリエとなる。01 年、銀座レカン入社。06年より再度渡仏した後、09 年より銀座レカンのシェフソムリエを務める。
13 年、独立。現在は、日本各地とフランスを中心に世界中を行き来し、テイスティングやペアリングなどを通して情報収集をしながら、数々のレストランや企業で活躍中。ワインの魅力を発信している。All About「ワイン」ガイドも務める。

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