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膨大な情報をさばく「スピード仕事術」

2016年06月16日 公開
2023年05月16日 更新

木山泰嗣(弁護士/税法研究者)

情報の海に溺れない「ポイント読み」とは?

大量の情報が溢れる中、自分にとって大切な情報を迅速に見極める能力が求められている。しかし、これがビジネスマンにとって大きなストレスになっている。長年、弁護士として膨大な文献に目を通し、多くの案件をさばいてきた木山氏に、情報に飲み込まれずに情報を処理するコツを聞いた。

 

まずは「全部読む」という意識を捨てる

 膨大な資料を前にして、「こんなにたくさんの資料をどうやって読めばいいのだろう」と途方にくれたり、「大変そうだな、嫌だな」とやる気を失ったりすることがあります。

 しかし、実際にはその大量の資料を全部読まなくても、必要な部分だけを使えばいい場合がほとんどです。自分が情報を使うのだという意識、つまり目的を持って必要な情報にのみあたるという意識があれば、大量の情報に圧倒されることもなくなります。

 資料を読む目的は、「この仕事における自分の役割は何だろうか?」と考えることで明確になります。どんな仕事も1人でするものではなく、各人の強みなどに応じて具体的な役割が与えられているはずです。その役割を果たすことが、すなわちあなたが資料を読む目的というわけです。

 たとえば企業法務を扱う法律事務所では、M&Aに際して、合併先の会社の状況を知るためのリサーチ(デュー・デリジェンス)を請け負うことがあります。企業活動に法律違反や法務上のリスクがないかをチェックするのですが、扱う資料は膨大なものになります。

 ただ、通常は人事労務関係、契約関係、許認可関係などの項目ごとに複数の弁護士で役割分担をします。こうした役割分担に沿って、自分の役割に必要な資料だけを読んでいくわけです。自分の役割を超えて目の前の資料を全部読もうとすると、時間が足りなくなってしまいます。

 自分の役割がわからないなら、確認するといいでしょう。あなたに仕事を発注した人や、チームをまとめている人に聞けば、教えてくれるはずです。

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著者紹介

木山泰嗣(きやま・ひろつぐ)

税法研究者・弁護士

1974年、横浜生まれ。上智大学法学部卒。2003年から15年3月まで鳥飼総合法律事務所で税務訴訟を手がけた(現在は同事務所客員弁護士)。15年4月から青山学院大学法学部教授に就任し、税法研究と法学教育に携わる。『情報をさばく技術』(日本実業出版社)、『反論する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

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