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40代からの「バーチャル・カンパニー」設立のススメ

2016年09月09日 公開
2016年09月09日 更新

柳川範之(東京大学大学院経済学研究科教授)

「40歳定年制」の真意とは?

「40歳定年制」を提唱して注目を浴びている経済学者・柳川範之氏。その意図は「40歳でクビにしろ」ということではなく、「40歳になったらスキルの棚卸しをして、それから先のキャリアを考え直そう」ということだ。今の働き方に疑問や不安を感じている人はもちろん、満足している人にも欠かせないことだという。いったい、なぜなのか? そして、具体的にはどうすればいいのか? 明日9月10日(土)発売の『THE21』2016年10月号でお聞きした。

 

忙しい40代のうちにこそキャリアを見直すべき

 40代くらいになると、「このまま定年まで働き続けていいのだろうか?」という疑問が頭をもたげてくる。しかし、その疑問を漠然としたまま放置し、自分をごまかしながら働いている人がほとんどだろう。それでは充実したビジネスマン人生は送れない。「40歳定年制」を提唱する柳川範之氏も、「このまま定年まで働き続けることはできない」という前提で、これからのキャリアを考えるべきだと話す。

「今や、自分が定年を迎えるまで会社がそのまま存続しているとは限らない時代です。たとえ定年を無事に迎えられたとしても、その頃には仕事の内容が変わっている可能性が高い。

 そのうえ、定年でリタイアするとは限りません。実際、多くのビジネスマンが定年後に再就職を選び、70歳くらいまで元気に働いています。

 つまり、一つの仕事だけをしてキャリアを終えられるビジネスマンはほとんどいないということ。転職をしないとしても、遅くとも定年を迎えた際には、新しい働き方を真剣に考えざるを得なくなります。今までどおりの働き方を一生続けることはできない、と考えておくべき時代なのです」

 そして柳川氏は、働き方を考え直す時期として、40代は最適なのだと話す。

「50代になったらもう遅い、というような話ではないのですが、40代なら、その後も約30年もビジネスマン人生が残されているからです。昔なら一生ぶんの働く時間がある。人生をやり直して、自分のやりたいことをやるための時間が十分に残されているのです」

 一方で、40代は仕事でもプライベートでも忙しい時期でもある。これからの働き方について真剣に考える暇などない、というのが実際のところだろう。しかし、わずかでもいいから時間を作って、働き方を考え直すべきだという。

「40代は会社員として一番脂が乗っている時期。バリバリ働いて忙しいけれども、社内に中堅層としてのポジションをしっかりと持てます。しかも住宅ローンや子育てでお金がかかる時期でもあるので、転職のリスクを取ろうとは考えにくい。だから将来のことを真剣に考える気にならない。『40代は会社のために働いて、50歳くらいになってから、その後のキャリアを考えればいいだろう』と思うのが普通でしょう。

 しかし、50代になったら、もう会社に居場所がなくなっているかもしれません。それから慌ててその後のキャリアについて考えるのでは遅いのです。忙しく仕事をしているうちにこそ、準備をしておかなければなりません」

 

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著者紹介

柳川範之(やながわ・のりゆき)

東京大学大学院経済学研究科教授

1963年、埼玉県生まれ。83年、大学入学資格検定試験合格。88年、慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業。93年、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。93年、慶應義塾大学経済学部専任講師。96年、東京大学大学院経済学研究科助教授。2007年、制度変更により同准教授。11年より現職。『40歳からの会社に頼らない働き方』(ちくま新書)など著書多数。

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