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なぜ、会議の9割が“失敗”に終わるのか?議論したつもりを生む「4つのムダ」

2016年12月13日 公開
2023年05月16日 更新

杉野幹人(A.T.カーニーマネージャー)

会議の失敗 「原因」と「解決策」とは?

目的設定の失敗

原因  → 解決すべき問題を見失っている
解決法 → 「so what」を5回繰り返す 

本来、会議を開く目的は「問題解決に向けて結論を出す」ことのはず。しかし、目的が曖昧なまま、惰性で開催されていることは多い。とくに、「週1回がルールだから」といった定例会議はその代表。

主催者はまず「何を解決しようとしているのか」を再確認する必要がある。そこで役立つのが、「so what?(?をして、何を実現したいのか?)」を5回ほど自分に問う方法。

「会議を開くことで、何をしたいのか?」→「会議を開いて、各部門の知恵を集めたい!」→「各部門の知恵を集めて、何を実現したいのか?」などと5回ほど自分に質問する。

こうすることで、会議の目的がブラッシュアップされていくのだ。

 

目的と議題の不一致

原因  → ボトムアップの議題募集
解決法 → 主催者がトップダウンで議題を設定

目的を正しく設定できたら、次は具体的な議題を設定する。ただ、ここで「目的に沿わない議題」が紛れ込むことがままある。

これは主に、ボトムアップの議題募集で発生する。メンバーへの通達の際、「議題があればお知らせください」と書き添える主催者がいるが、それは目的のブレを招く。

問題設定をして招集をかけた以上、そこに沿った議題を立てるのも主催者の仕事と心得よう。なお議題設定は1回限りではなく、継続性のある「アジェンダ・プランニング」が望ましい。

たとえば商品企画会議なら、「ターゲットとコンセプトを4月に決める」→「販売チャネルを9月に」→「プロモーション方法を12月に」と先々まで決めておくと、ムダな迂回や遅延を予防できる。

 

議題と資料の不一致

原因  → 資料作成者が結論を決めている
解決法 → 論点をオープンクエスチョンで明記

会議で使う資料の役割はあくまで、参加者の専門知識や見解を引き出すたたき台にすぎない。ただ、作成者の考えを押しつけるような資料も多い。

選択肢を複数挙げつつもリスクを強調して自分の考えた案以外は「できない、難しい」と繰り返す『But型資料』と、逆に特定の解決策のメリットを「あれもこれも」と羅列する『And型資料』が代表例だ。

どちらも、作成者が結論を決めつけているのだ。そうならないためには、論点を「良い方法は『何か』」という形で問う「オープンクエスチョン」にするとよい。自ずと解決案の選択も複数となる。

なお、選択肢には具体性を持たせること。「今後の事業推進方法」が「鋭意努力する」では、ただの精神論。『国内より海外事業を優先』など、議論の余地のある選択肢を挙げよう。

 

議題とメンバーの不一致

原因  → 「議題」より「立場」でメンバーを選ぶ
解決法 → 「立場」より「議題」でメンバーを選ぶ

会議の参加メンバー選定の基準は「議題の解決策を出せる人」。その問題に関する情報、経験、知識を持つ人を選ぶのが正解だ。

ここで、「立場」を基準に考えるのは間違いの元。「偉い人だから」呼んだり、「Aさんを呼ぶならBさんも」と気遣ったりするのはナンセンスだ。気遣いが必要なら別の場で飲みにでも行けばよい。

なお、きちんと選んだつもりで不適切な人選になることも。たとえば反対意見が全く出ないなら、似たような人ばかり集めたか、遠慮している可能性大。この場合は、「デビルズ・アドボケイト」という手法を取ろう。

「本当にそれでいいのでしょうか」「そもそも、その策をよしとする根拠は?」など、あえて水を注す意見を言うことで、メンバーの視点を転換させ、議論を活性化できる。

 

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