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「即断即決」社長の瞬時に伝わる話し方

2017年04月12日 公開

大山健太郎(アイリスオーヤマ社長)

大事なことは確実に伝わるまで言い続ける

ミーティングは立ったまま短時間で済ませ、報告は簡潔第一――仕事もコミュニケーションも明朗簡潔・効率的であることが求められるアイリスオーヤマ㈱。同社を率いる社長の大山健太郎氏は、毎週月曜の朝礼でトップメッセージを約十五分にまとめ、新入社員からベテラン社員まで届くように伝えている。「新商品開発会議」で数多くの社員のプレゼンを見る機会もある大山氏が考える、短い時間でも伝わる話と伝わらない話の違いとは。《取材・構成=前田はるみ、写真撮影=まるやゆういち》

 

プレゼンは前置き不要、本題から入る

アイリスオーヤマでは、毎週月曜日に「新商品開発会議」が開かれる。大山健太郎社長も同席し、社員がプレゼンする数十件の企画を、ほぼ一日かけて検討し、その場で商品化の有無を決めていく。「即断即決」の大山氏が社員に求めるのは、「企画の本質の部分、つまり本題から話すこと」。したがって、業界を取り巻く現状や競合分析などの前置きは基本的に不要だと言う。外部の人が見たら面食らうという、「アイリスオーヤマ流」話し方。その極意をうかがった。

「なぜ前置きが要らないかというと、業界内の現状や課題は、同じ仕事をする仲間ならみんなわかっているからです。共通認識として持っていることを、あえて言う必要はありません。それよりも、重要な事柄から先に話します。聞く人もそれを聞きたいわけですから。
当社であれば、ターゲットとなるお客様は誰なのか、そのお客様に対して何をどう商品化するのかが重要なポイントです。こういう技術があるから商品化したいとか、競合商品に比べて価格が安いというだけでは、商品化する意味がありません。お客様はなぜその商品を買うのかというエンドユーザーの視点、『ユーザーイン』の視点が企画の肝です。加えて、家電の場合は、アイデアに『なるほど!』がないとダメだよ、と常々話しています」

これらの本質の部分を、パワーポイントの一画面で簡潔に表現することが基本だ。

「伝えたいことが二画面にも三画面にもなると、結局何が言いたいのかわからなくなります。一画面にまとめることで、伝えたいことの本質が磨かれていきます。もし、現状の課題や競合分析を示す必要があれば、最後に補足すればいい。あるいは、プレゼンを聞く人も、細かな点でわからないことがあれば、その都度質問すればいいのです。私たちは前置きなしで本題から入るので、検討すべき案件は多くても、スピードは早いですよ」

 

一度に伝えられるテーマはせいぜい二つ

大山氏は、毎週月曜日の朝礼でおよそ15分、社員に向けて話すことを何十年も続けてきた「話す達人」である。社員にトップのメッセージを伝えるうえで、心がけていることは何だろうか。

「社員に伝えたいことはたくさんあります。ですが、あまり多くのことを話そうとしても、焦点がぼやけてしまいます。聞くほうも、話のポイントがつかみにくいでしょう。あれもこれもはやめて、テーマを二つくらいに絞るようにしています」

社員に何を話すのか――。テーマの選び方に、伝え方の上手な人と下手な人の差が大きく表れるという。

「自分が言いたいことだけを話す人と、相手が聞きたいことを話す人。そこが一番の差でしょうね。社長の話は黙って聞け、という一方的な姿勢で話しても、社員には伝わりません。私が社員に伝えたいことで、かつ社員が知りたいことは何かを意識しながら、テーマを選ぶことが大切だと思います。主役は常に、聞き手である社員です。
社長が何を考え、会社をどの方向へ導こうとしているのかは、すべての社員が聞きたいことです。たとえば、新しい期が始まって一カ月が経ち、当初の計画と実績を踏まえて社員に話をするとします。単に『計画が○○円で、達成率が○○%だから、もっと頑張ろう!』と発破をかけても、社員からすれば『一体、何を頑張ればいいんだろう』と腑に落ちないままでしょう。社員が最も知りたい『何をどう取り組むのか』という問いに答えていないからです。
私ならこう話します。計画と実績を検証したうえで、戦略をどのようにブラッシュアップするのか、どの部分を強化するのかを具体的に伝えます。聞きたいことと伝えたいことの接点が合致したとき、聞き手は話に引き込まれ、伝えたいことが聞き手に伝わります」

 

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著者紹介

大山健太郎(おおやま・けんたろう)

アイリスオーヤマ〔株〕代表取締役社長/アイリスグループ会長

1945年、大阪府生まれ。64年、大阪府立布施高校卒業。同年、父の急死により家業である大山ブロー工業所代表に就任。71年、同工業所の法人化に伴い大山ブロー工業㈱代表取締役となる。91年、アイリスオーヤマ㈱に社名変更。現在、同社代表取締役社長、アイリスグループ会長を務める。

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