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不安を煽る「老後破産」のウソ

2017年08月08日 公開

大江英樹

老後資金は「1億円」も必要ない!?

人生の後半戦に突入した40代にとって、最大の不安は「老後のお金」だろう。「老後破産」「必要なお金は1億円以上」などという報道もしばしば聞く。だが、実際はどうなのか。退職時の貯金が150万円でありながら、充実した"老後"を送る経済コラムニストの大江英樹氏に、リタイア世代の現実と40代からすべき準備についてうかがった。

 

たいていの人の老後は「どうにかなる」

「老後の生活には1億円かかる」老後特集や金融商品の売り込みで最近、よく目にするフレーズです。定年後85歳までの25年間で1億円、月額35万円──。しかし、この数字を鵜呑みにしてはいけません。現役世代の方は老後の生活がイメージしにくいため、画一的な数字を信じがちなのです。

 結論から言うと、1億円という金額はある人には正解ですし、ある人には不正解。なぜなら、どんな生活を送るかで老後の費用は違ってくるからです。

 そこで、私のケースをご紹介したいと思います。私が60歳で定年退職した時点で、貯金は150万円しかありませんでした。そこで退職前後に家計簿をつけて、収支を計算してみたのです。その結果、現役時代は毎月35万円かかっていた夫婦2人の生活費が、退職後は22万円にダウンサイジングしていました。とくに節約を心がけたわけではなく、退職前に住宅ローンの支払いが終わり、現役時代に〝必要経費〟だった洋服や外食にかかる費用が減り、この金額に落ち着いたのです。

 少し多めに見積もって生活費を月25万円とすると、85歳までの25年間で7500万円。サラリーマンの場合、60~85歳の年金総額は6750万円(夫の標準報酬月額38万円、妻は専業主婦、加給年金なし)ですので、生活費はまかなえます。さらに退職金として1000~2000万円が入れば、ひとまず安心というわけです。もちろん、住宅ローンが終わっていない場合などは別ですが、一般的なサラリーマンであれば、「公的年金+退職金」で老後の基本的な生活費はまかなえると考えられるのです。自分の老後を「見える化」するには、まず今の月間生活費を割り出してみてください。

 ローン支払いや諸費用など老後に不要になる費用を差し引くと、ご自分の老後の生活費が見えてくるはずです。その金額と将来もらえる年金支給額が釣り合っていれば、むやみに不安になる必要などないのです。

「+αの収入」で余裕の老後 >

iyashi

著者紹介

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。



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