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なぜ、中堅社員ほど、やる気を失うのか?

2017年10月12日 公開

山本 寛(青山学院大学経営学部教授)

 

20代、50代でも「中だるみ」は発生する!

 こうした「中だるみ」は、30~40代だけに見られる問題ではありません。人材不足がますます深刻化し、転職市場が活性化していく時代においては、年齢やステージに応じた人材マネジメントを行なうことで、優秀な社員をつなぎとめる必要があります。

 たとえば、20代後半の社員は仕事をひと通り経験し、仕事への慣れや会社への不満が噴出しやすい世代。この時期に資格取得や転職を考え始める社員が多いのは、先輩の働き方などからキャリアの限界や不透明感を感じたから、というケースが少なくありません。

 いわゆる「キャリア・ミスト(キャリアの霧)」といわれる状況です。このモヤモヤ感を解消するには、先輩がワクワクしながら働いている姿を見せることとともに、20代のうちにチームリーダーやプロジェクトリーダーを経験させ、人の上に立つことや新しい仕事を生み出すやりがいを体験させることが有効です。

 リーダーとして働く楽しさを早いうちに経験することが、“管理職になりたくない若手社員が増えている”という最近の問題の解決にもつながるかもしれません。

 また、多くの会社では、社員の異動希望などを確認する機会を設けているかと思いますが、そこで出てきた異動希望をなるべく実現してあげることも大切です。とくに毎年同じ部署に異動希望を出している社員がいるとしたら、自発的に新しいことをしたいと思う社員の気持ちをなるべく早く実現させてあげることが、社員のモチベーション持続には大きな効果があるでしょう。

 さらに、出世コースから外れた50代以降の社員も、中だるみしやすい傾向があります。こうした社員に対しては、社内に「居場所」を作ってあげることで、“存在意義”を感じさせることが効果的です。

 具体的には、それまで蓄えた経験を後輩に教える場を作ることです。本人が得意とする分野で若手社員に教える立場を与えることで、50代以降の社員・若手社員のどちらにもメリットがあるでしょう。ただし、「教える」の範囲を逸脱しないように注意が必要です。

 職場における「中だるみ」とは、働く職場の“変化のなさ”が大きな要因となっていることが少なくありません。「やりがい搾取」とならない程度に、社員に課題や負荷を与えて「変化=やりがい」を与えていくことも、これからの人材マネジメントの大きな役割なのです。

≪取材・構成:麻生泰子≫
≪『THE21』2017年10月号より≫

iyashi

著者紹介

山本 寛(やまもと・ひろし)

青山学院大学経営学部教授

1957年、神奈川県生まれ。79年、早稲田大学政治経済学部卒業後、銀行勤務、大学院などを経て、2003年より現職。メルボルン大学客員研究員歴任。専門は、人的資源管理論、キャリアデザイン論。著書に、『「中だるみ」社員の罠』(日経プレミアシリーズ)など。

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