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プレッシャーへの対応がカギ!優れたリーダーはなぜ、「悩みを抱え込まない」のか?

2020年02月27日 公開
2023年02月24日 更新

清明祐子[マネックス証券(株)社長]

「誰にも負けない」と言える分野を一つずつ積み重ねる

弱冠41歳で、マネックス証券の社長に就任し、大手ネット証券初の女性社長となった清明祐子氏。その華麗なる出世とは裏腹に、一社員時代は叱られたことも、営業先で苦労したこともあったという。あと一歩の粘りを可能にする心が折れない仕事術をうかがった。(取材・構成 長谷川 敦)

 

「苦手な人」にはあえて自分から話しかけてみる

マネックス証券と言えば、カリスマ経営者の松本大氏が創業した会社として知られている。今年4月、その松本氏のあとを継いで社長に就任したのが清明祐子氏だ。

41歳という若さでの社長就任。しかも国内インターネット専業証券会社初の女性社長であることも話題になった。この若さで社長に抜擢された
ということは、「きっと若手社員の頃からとても優秀で、上司から叱られて落ち込むなんて経験もあまりなかったかも」などと思いつつ、清明氏に話をうかがってみると……。

「いえいえ。私は大学卒業後、都市銀行に就職したのですが、若手の頃は失敗の連続でした。当時所属していた部署の上司はとても厳しい人で、ことあるごとに叱られていました。叱られると当然へこみます。

書類を作成して提出しても、いつもダメ出しをされて突き返されるので、書類を出すのが怖くなってしまったことがありました。飲み会の場で、同じ職場の先輩に相談したところ、こんなふうに言われたんです。

『そんなに落ち込むことはないよ。だって上司というのは、部下に指摘をするのが仕事だからね』と。『ああ、確かにそうだな』と思いました。上司だって、別に好きで私のことを叱っているわけではなくて、それが役割だから叱っているんだなって。

そこでその日から、発想を思い切って転換することにしました。叱られたときに『イヤだな』と思うのではなく、『私の成長のために叱ってくれるなんて、ありがたい』と思うようにしようと。

もちろん本当はイヤなんですが、無理にでもそう思うようにしたんです。叱られてもへこたれず、自分のほうから上司に質問に行くようにしました。すると上司も、『またかよ』という顔をしながらでも教えてくれますし、次第に信頼関係もできあがっていきました。

これはとても大きな経験でした。職場の中に『なんだか苦手だな』という人がいたときに、その人のことをネガティブに捉えてしまうと、どんどん負のスパイラルに陥って、毎日職場に出勤するのがつらくなっていきます。

でも苦手な人やイヤな出来事についてもポジティブに捉えれば、状況をプラスに変えることが可能です。『結局は自分の心の持ちようが状況を決める』ということを学びました」

 

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期待値の低さは逆に大きなチャンスになる >

著者紹介

清明祐子(せいめい・ゆうこ)

マネックス証券(株)社長

1977年生まれ、大阪府出身。2001年、京都大学経済学部卒。三和銀行(現・㈱三菱UFJ銀行)入行後、法人営業及びストラクチャードファイナンスに従事。06年12月から㈱MKSパートナーズ(プライベート・エクイティ・ファンド)に参画。09年にマネックス・ハンブレクト㈱入社(17年にマネックス証券㈱と統合)。11年に同社社長に就任。13年マネックスグループ㈱執行役員、16年同社取締役、17年マネックス証券㈱執行役員、18年マネックスグループ㈱常務執行役兼マネックス証券㈱副社長執行役員を歴任。19年4月から減職。

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