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古森義久&アール・キンモンス まだいうか、安倍ファシズム

2017年04月04日 公開
2022年10月27日 更新

古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員),アール・キンモンス(大正大学特任教授)

「日本会議は圧力団体」はナンセンス

アール・キンモンス

(古森)おっしゃるように、アメリカの一部メディアは安倍氏を批判するため、意図的に悪意のあるレッテル貼りを行なっています。その結果、いまや日本に関する偏向報道は安倍首相にとどまらず、その周辺にまで及んでいる。たとえば憲法改正を掲げ、安倍政権を支援する日本会議という民間団体があります。

アメリカのメディアは、あたかもこの団体が安倍政権を裏で動かしているかのように「日本会議が日本の政治を支配している」と書いています。また同じ歪みの傾向として「日本政府は言論を弾圧している」「日本の改憲の動きは軍国主義の復活だ」などと報じています。

アメリカの『THE DAILY BEAST』なるメディアに至っては、日本会議について「日本を裏から操るカルト」という見出しの記事を載せ、日本会議をカルト教団呼ばわりさえしている。カルト(cult)というのは、日本でいえばオウム真理教のようなテロまで行なう集団のことですよ。きわめて悪質で異常な報道といわざるをえません。

(キンモンス)まったくナンセンスですね。その種の外国メディアは「日本会議は政権を動かす圧力団体」と報じていますが、日本会議の会員数は約3万8000人だそうです。全米ライフル協会の会員数をご存じですか? 400万人ですよ(笑)。こういう組織こそ「圧力団体」というのであって、先ほどの右翼の例と同じく、言葉の意味を理解しないまま批判の道具に使っている。
 

事実すら伝える力がない日本のメディア

(古森)欧米のリベラル系メディアが、事実を曲げてまで日本叩きや陰謀説を繰り返し流す理由はどこにある、と考えていますか。

(キンモンス)安倍首相や日本という国がいくら批判しても反撃してこない、都合のよい対象だからではないかと思います。たとえばアメリカの新聞やテレビがアメリカの政治家を批判すると、反撃を受けることが多い。とくにトランプ大統領の場合は、即座に彼のツイッターや記者会見で「偽メディア」という反撃が返ってくる。その点、日本は安全です。それでおとなしい日本を批判し、自分たちが進歩的な言論を行なっているという自己満足に浸っている。そうした歪んだ心理構造があるのではないか、と私は考えています。

(古森)それは納得のいく説明ですね。その一方で、日本のメディアは現地で取材もせず、ひたすらアメリカの『ニューヨーク・タイムズ』や『ワシントン・ポスト』、3大テレビネットワーク(CBS、NBC、ABC)のようなリベラル系メディアの流したニュースを輸入して再生産しているだけです。だから、アメリカ国民の本当の声がまったく伝わってこない。

(キンモンス)アメリカ人の民意が日本にあまり伝わっていない例として、2017年1月にトランプ大統領が発表した移民の入国禁止令が挙げられます。トランプ政権が行なう移民政策については、さまざまな意見があります。アメリカのある世論調査では国民の49%がトランプ大統領の政策に賛成しており、反対の41%を上回っている。しかし、日本の新聞、テレビはこうした側面よりも大統領令に反対する人びとの動きのほうを大きく取り上げていました。

(古森)まさにそのとおりで、いまキンモンスさんが挙げた数字はロイター通信によるインターネット調査の結果ですが、ギャラップなど他の機関が行なった世論調査でも、総じて移民入国禁止令への賛成が反対を上回っています。

ラスムセンという大手世論調査会社の結果に至っては、賛成が57%、反対が32%という大差がついている(例外はCNN調査で、53%が反対)。日本では衛星放送・ケーブルテレビで比較的、流れているのでCNNの認知度が高く、鵜呑みにする人が多いのですが、本国のアメリカではFOXと比べて半分以下の視聴率です。完全に傍流メディアの位置付けですよ。

ところが日本のメディアはトランプ大統領の移民政策をめぐる議論以前のレベルで、事実を伝える意欲がないようなのです。アメリカの左傾メディアの受け売り報道を行なっているのです。

結果として、大統領選挙のときはトランプの勝利を読み誤り、それでもなお懲りずに、いまだにトランプ大統領や安倍首相を叩いて進歩派気取りで溜飲を下げている。日本の報道がこのレベルに留まっているうちは、韓国や中国が繰り出す「日本は軍国主義の戦争犯罪国である」「安倍首相は20万人の性奴隷の罪を認めよ」という偽りの宣伝に抗し、正しい歴史を世界に向けて発信するのは無理だといわざるをえません。

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