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「韓国経済の崩壊」を確信した4つの理由

2019年11月21日 公開
2022年10月27日 更新

渡邉哲也(経済評論家)

 

理由2 韓国企業が「武器」を封じられた

2019年、日韓関係において大きなトピックは、貿易管理の問題であった。7月には、日本が安全保障上の理由から半導体素材(フッ化水素等3品目)の輸出管理を強化。

8月28日の改正輸出貿易管理令の施行により、日本は韓国をホワイト国(輸出規制における優遇措置を取る国)から除外した。

正確にいえば、政令改正によって従来の「ホワイト国」「非ホワイト国」の2つのカテゴリーに分類していたものを廃止し、新たにABCDの4つのカテゴリーとしたのである。

新たなカテゴライズで韓国はグループBとなった。グループAが以前のホワイト国である。グループの中でも、輸出管理体制が比較的しっかりしている「ワッセナー・アレンジメント(WA)」という国際輸出管理レジームにある国ということで、いまのところ規制品目はかなり少ない。

もっとも韓国側の出方次第では、政令を改正してグループC以下に落とすことは容易に行なえる。どのグループに入れるかは、これからの韓国側の対応次第ということで韓国側にプレッシャーをかける貴重なカードとなったのである。

韓国側は当初、輸出管理強化の撤回を求めたが、当時の世耕弘成経産大臣(現参議院自民党幹事長)は7月12日に行なわれた韓国に対する日本側の輸出説明会(「輸出管理に関する事務的説明会」)の後、ツイッターで「韓国は一方的に『協議だった』『撤回要請した』と現場合意に反する発表を行った。まずはこの訂正が行われない限り、韓国とは信頼して対話すらも出来ない状況にある」(7月29日)と呟いている。

日本側の意思は固く、これまでのように日本が折れて話がまとまるという認識でいると、韓国側はさらに窮地に追い込まれることになる。

実際、7月24日に行なわれたWTO(世界貿易機関)一般理事会で、韓国側は日本の措置を「自由貿易からの逆行」と批判したものの、他国からの発言はなく、他の参加国が冷ややかに見ている様子が際立つ結果となった。

 

理由3 生死を分ける「カーボン系」への規制

ホワイト国(輸出管理優遇措置対象国)のリストから外れたことによって、約280品目が規制リスト品目になったが、そのうち、最も影響が出そうなのはカーボン系(強化炭素繊維)などと言われている。

もともとカーボンは武器転用の可能性が非常に高く、韓国に対する輸出許可はハードルが高く設定されていて、通常、1年以上かかったと言われている。

それが2004年にホワイト国とされて以降、一気に緩和されていたのだが、今回、輸出管理強化によってかなり厳しい形で影響が出てくる可能性がある。

日本の企業のなかには、韓国に強化炭素繊維の生産拠点をつくってしまっているところもある。しかし、韓国に生産拠点があっても、技術の輸出が禁止され日本側の規制がかかれば、これを提供することは許されない。

たとえば韓国企業が、自国にある日本企業の子会社を買収することは、韓国をホワイト国から除外する改正輸出貿易管理令(政令)の施行(2019年8月28日)以降、不可能になった。

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理由4 日本からの技術者移転も違反対象となった >

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