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日本人支持者は知らない…消えない「トランプ現象」の正体

2021年02月19日 公開
2022年10月20日 更新

宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

トランプ

「トランプ現象」は失脚後も残る

トランプ氏は集会に参加した支持者たちが連邦議会を襲撃し、死傷者まで出す大事件を起こす、と事前に予想しなかったのか。

1月6日午前11時、ホワイトハウス前の広場で開かれた支持者集会で、トランプ氏は「議会議事堂まで一緒に歩こう。そして、上下両院の議員が勇敢な行動をとる様子を応援しよう……我々は力を示さなければいけないし、強くなければならない」と訴え、集まった群衆を大いに嗾(けしか)けている。

案の定、同集会終了直後、集会出席者は大挙して連邦議会議事堂や議員会館に押し寄せ、暴徒化した。大統領の演説で大胆になり、大統領も自分たちとともに議事堂に乗り込んでくれるとでも信じたのだろうか。

この事件には共和党連邦議員ですら反発した。議会では米憲法修正25条発動や再度の大統領弾劾、さらには暴動煽動罪の適用などでトランプ氏を辞任に追い込もうとする動きが表面化している。

トランプ氏の政治生命もこれで終わりなのか。残念ながら、そう考える御仁はCNNの見過ぎである。冒頭、「トランプ現象」は「ダークサイド」の結果だと書いた。

されば、トランプ氏が失脚しても「トランプ現象」は残るのだ。さらに恐ろしいのは将来、トランプ氏よりはるかに若く、賢く、かつ政治的に洗練された白人ナショナリスト・ポピュリストの政治家が「ダークサイド」を濫用しようとする可能性だろう。

 

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