THE21 » トピックス » 「藻谷浩介と行く食の福島」講演ツアー同行取材ルポ 後編

「藻谷浩介と行く食の福島」講演ツアー同行取材ルポ 後編

2016年01月09日 公開
2023年01月12日 更新

藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)

 

[ホテルハマツ]
福島県産の食材に舌鼓を打つ

 笹の川酒造で今回のツアーの見学は終了。最後は、郡山市街にあるホテルハマツでの「福島県産食材をつかった大収穫祭」で夕食をいただいた。ツアー参加者以外にも、農産物の生産者、加工業者、地域の人たちなど、約180人が参加するイベントだ。シェフが地元の食材を使って腕を振るった料理がビュッフェ形式で並んだ。

 冒頭、福の島プロジェクト会長の小林文紀氏に続いて、再び合流した藻谷氏も挨拶をした。

「福島県産食材をつかった大収穫祭」で挨拶をする藻谷氏

 

「こんなに大人数の方が集まっていることにびっくりしています。地元の食材に関わっている方々に加えて、東京、千葉、遠くは四国から参加してくださっている方もいます。

 今日は、私は途中抜けてしまいましたが、朝から食の現場を見てまいりました。コメの全量全袋検査とは聞いていましたが、どうやっているのかと思いきや、空港の手荷物検査のように1袋ずつ機械に通していました。そして、少しでも疑いがあると精密検査に回している。

 現場に行ってみると、まさに『百聞は一見にしかず』で、自分たち自身が作ったコメ、消費者の口に入るコメを、検査をしている方たちが心を込めて扱っているのがすぐにわかります。『本当のところはどうなんだ?』なんて疑う人もいますが、その場で作業をしている人と目が合えばわかります。改めて、福島の人たちの、アピールは下手だけれども、背中からにじみ出る真面目さ、誠実さを感じました。

 大震災の年も、福島県はコメの収穫量が全国7位でした。それだけのコメどころです。今年は約1,000万袋が収穫されて、そのうち検査がすんだのが約500万袋。その中に、安全基準値の1kg当たり100ベクレルどころか、半分の50ベクレルを検出したものもないということです。生産者の皆さんの地道な努力が、着実に実を結んでいます。あとは、私たちがそれを食べて、どれだけ応援できるかだと思います。

 日本にこれだけ誠実な福島という場所があってよかったと思います。今日は素晴らしい機会を作っていただき、ありがとうございました」(藻谷氏)

 

《写真撮影:まるやゆういち》

著者紹介

藻谷浩介(もたに・こうすけ)

〔株〕日本総合研究所主席研究員

1964年、山口県生まれ。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)、米国コロンビア大学留学などを経て、現職。2000年頃より地域振興について研究・調査・講演を行なう。10年に刊行した『デフレの正体』(角川新書)がベストセラーとなる。13年に刊行した『里山資本主義』(NHK広島取材班との共著/角川新書)で新書大賞2014を受賞。14年、対話集『しなやかな日本列島のつくりかた』(新潮社)を刊行。

THE21 購入

 2024年6月号

THE21 2024年6月号

発売日:2024年05月07日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

「藻谷浩介と行く南三陸鉄道講演ツアー」同行取材ルポ 前編

藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)

「藻谷浩介と行く南三陸鉄道講演ツアー」同行取材ルポ 後編

藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)
×