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「7つのタイプ」別ストレス対処法

2016年06月27日 公開
2016年11月14日 更新

相場 聖(ヒューマンエナジー代表/メンタルグロウ代表)

 

 以上のチェックリストでわかる7つのタイプは、どれも、誰もが多かれ少なかれ持っている要素です。人によって、どの要素が強く出るかが違うだけです。

 また、どのタイプだからいけない、ということはいっさいありません。「強迫傾向タイプ=几帳面」「他者中心タイプ=気遣いが細やか」というように、その人の強みにもなっているからです。

 ただ、どれかの要素があまりに強く出すぎると、メンタル不調を招くことがあります。各タイプの特徴を踏まえ、自分はストレスにうまく対応できているのか、見直してみましょう。

 効果的なストレス対処法は人によって違います。ここで紹介しているものの中から「よさそうだな」と感じたものを、まずは1つ、試していただきたいと思います。

 

(1)強迫傾向タイプ

 完璧志向で常に100%を求めるタイプです。自分にも他人にも厳しいので「仕事をきっちりやってくれる人」と信頼されますし、リーダー的存在を担うことも多い。

 一方で、何事にも「かくあるべき」という固定観念が強く、それが心理的な囚われとなってストレスになることがよくあります。

 このタイプのストレス対策は、固定観念を外していくことがポイント。いつも物事を1つの側面からしか見ていない傾向があるので、別の側面からも見るようにトレーニングするのです。

 たとえば、強迫傾向タイプの人はよく「自分は失敗ばかりしている」と言います。しかし、「100回のうち、何回失敗するのですか?」と聞くと、「7~8回は失敗します」などと答えるのです。そこで、100回中7~8回の失敗に目を向けてネガティブな感情を持つのではなく、物事の見方(認知)を変えて「100回中92~93回は成功している」と捉えられるようになると、感情を肯定的に変えることができます。物事の捉え方、つまり認知を変えるというのはストレス対策の基本で、「認知行動療法」と呼ばれる手法です。ビリーフチェンジ([悲観思考タイプ]のところで解説)とあわせて、ぜひ活用してください。

 

(2)過去引きずりタイプ

 過ぎ去ったことを「ああすればよかった……」「なんであんなことをしたのか……」といつまでも引きずってストレスになっている、気持ちの切り替えが苦手なタイプです。

 過去・現在・未来のうち、どこにフォーカスして生きているかは人によって違います。バランスが取れているのが理想ですが、過去引きずりタイプの人は過去にフォーカスを当てすぎています。それは「同じ失敗は繰り返さない」「前回より良い結果を目指す」といった強みにもなりますが、過ぎ去ったことを気にしすぎると、やはりメンタル不調につながります。

 対策としては、過去の対極にある「未来」に目を向けるようにするのが有効。具体的な方法としては「ヴィジュアライゼーション法」があります。アスリートが試合前に勝利の瞬間をイメージするように、未来に起こってほしいことを視覚的にイメージするのです。

 ただ、このタイプには具体的にイメージすることが苦手な人が多いので、頭の中だけでしようとしないのがコツ。イメージを言語化して書き出す、あるいはその場面を(下手でもかまわないので)絵に描く、といった方法を取りましょう。また、SFA([現実逃避タイプ]のところで解説)もお勧めです。

 

(3)現実逃避タイプ

 受け身、受動的な人に多いタイプです。といっても、夢や目標は普通の人よりもたくさん持っていたりします。「なりたい」「やってみたい」という欲求はある一方で、能動性が足りないのです。「やってみて失敗したらどうしよう……」という不安が強く、それがストレスになっています。

 対策は、「今、何ができるか」「今、何をすべきか」を考えること。

[1]もし、うまくいっていないのであれば、(なんでもいいから)違うことをせよ。
[2]もし、一度やってうまくいったのなら、またそれをせよ。
[3]もし、うまくいっているのであれば、さらに良い方法を試してみよ。 

という、たった3つのルールで、「できない理由探し」から「やるためにはどうしたらいいのか」へと、意識のフォーカスを変えていくことができます。この手法を「解決志向:SFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)」と呼びます。

 また、日常生活の中に小さな一歩を踏み出す習慣を組み込む「ルーティーン法」もお勧めです。たとえば資格を取りたいなら、「参考書の中のキーワードを1日に1個、ノートに書き写す」というように、できるだけハードルの低いルーティーンを作ることがポイントです。

 

(4)悲観思考タイプ

 自尊心が低いことからネガティブになりやすいタイプです。他人の意見によく耳を傾けるので、人当たりがよく、接しやすい人だと評価されます。一方で、うつをはじめとするメンタル不調に陥りやすいタイプなので注意が必要です。

 このタイプの人は、世の中の「すごい人」「超一流」につい目が行ってしまい、それと比較して自分のネガティブな面に目を向けてしまいがちです。対策としては、やはり物事の捉え方を変えることが重要。「ビリーフチェンジ」という手法がお勧めです。

[1]紙の中央に縦に線を引く。
[2]左側に、その日の出来事を書き出す。
[3]失敗など、自分にとって少しでもネガティブな出来事に○をつける。
[4]○をつけた出来事について、ポジティブな捉え方を右側に書き出す。

 これを、毎日、行なうのです。

 また、「アファメーション法」もお勧め。「こうなりたい」という願望を宣言文にして何度も唱え、「なれっこない」という潜在意識を少し緩めてやります。「私はもっと自信を持っていい」「私は○○に挑戦してもいい」のように、自分に「許可を出す」形にするといいでしょう。

 

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(5)過敏反応タイプ >

著者紹介

相場 聖(あいば・さとる)

〔株〕ヒューマンエナジー代表取締役/〔株〕メンタルグロウ代表取締役

1977年、東京都生まれ。スポーツコーチ、メンタルトレーナーとして活動後、DNP(大日本印刷)グループでグループ全体約4万人の従業員に対する健康開発活動に従事。メンタルヘルス体制の構築支援や全社共通予防プログラムの作成などを手がける。企業内心理カウンセラーとして臨床心理の現場でも活動を行ない、全社的な教育研修講師活動も実施。2006年、組織活性化事業とメンタルヘルス事業を行なう〔株〕ヒューマンエナジーを設立。08年、メンタルヘルス事業拡大に伴い、メンタルヘルス事業に専門に特化した〔株〕メンタルグロウを共同設立。現在、両社の代表を務めており、多くの企業や官公庁、医療法人や学校法人などでコンサルティングや講師活動を行なっている。

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