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棚橋弘至の「全力」お悩み道場3~愛のない叱責は受け流していい

2016年09月18日 公開
2023年05月16日 更新

棚橋弘至(プロレスラー)

子育てを頑張っている専業主婦の妻をねぎらうには?

Q3 私は会社員、妻は専業主婦で、2歳の子供がいます。最近、妻がストレスを溜めているようです。仕事が忙しいために子供のことを任せきりにしてしまったことを反省しているのですが、どうしたら良いでしょうか。

 

相談者さんはとても立派だと思います。だって世の中の男の多くは、奥さんがストレスを溜めていることにすら気づいていないんだから。

実は僕自身も、最初はわかっていませんでした。子供がもっとも手のかかる2~3歳のころ、僕は試合とプロモーションで全国を飛び回る日々を送っていました。たまに家に戻ると、妻から「うちは母子家庭なのかな」とイヤミを言われたこともあり、そんなとき内心では「俺は家族のために頑張っているのに、どうしてそういうことを言うのか」と傷ついていました。

でも、休みの日に子供の世話をして、妻の気持ちがわかりました。最初は子供の笑顔を見て癒されていたのですが、数時間も経つと、「勘弁してくれ!」という気持ちになってくる。妻はこれを24時間365日やっていたのかと思うと、それまでの自分の無理解ぶりを反省するとともに、妻に対する尊敬の念が自然と湧いてきたんです。

もちろん、僕らの仕事だって楽ではないです。でも、プロレスラーならリングでの頑張りをファンが見て、評価してくれます。会社員の方でも同じでしょう。結果を出せば上司や同僚が認めてくれたり、お客さんが喜んでくれたりします。また、成果が昇給や昇格につながることもあります。

ところが、主婦の仕事は誰にも見てもらえません。評価して褒めてあげられる存在がいるとしたら、それは夫以外にないのです。だから自分がどんなに疲れて帰ってきても、妻をねぎらってあげないとダメなんです。

具体的には夫婦の会話を増やし、「お疲れ様」、「今日も大変だったね」と言葉をかけること。そして奥さんが愚痴をこぼしたら、「そうだね」と共感を示してあげること。それだけでも奥さんのストレスは軽くなります。

そして、月に一度くらいは休日に子供の面倒を見て、奥さんを自由にしてあげましょう。専業主婦のストレスの大きな原因は、すべての時間を家族のために使わなければならず、自分の時間が持てないこと。時には独身時代のように自由な時間の使い方ができれば、奥さんもリフレッシュできるでしょう。ここまでできたら、百点です!

 

《『THE21』2016年3月号より》

著者紹介

棚橋弘至(たなはし・ひろし)

プロレスラー/新日本プロレス所属

1976年、岐阜県生まれ。98年、入門テストに合格。99年、立命館大学法学部を卒業後、新日本プロレスに入門。同年デビュー。2003年、初代U-30王者。06年、IWGPヘビー級王座を初戴冠。09年、11年プロレス大賞MVP。14年、第7代IWGPインターコンチネンタル王者に。第45代、47代、50代、52代、56代、58代、61代IWGPヘビー級王者。著書に、『全力で生きる技術』(飛鳥新社)など。

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