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なぜ、商店街の布団屋さんはつぶれないのか?

2017年02月16日 公開

陰山孔貴(経営学博士・MBA・工学修士)

あなたは人生で何度、布団を買いますか?

パンパンパン。
家のベランダで、日光を浴びたお布団が、力強く叩かれています。
新しい新鮮な空気を中に吸い込んで、フカフカになっていくお布団。

夜、「それ」にくるまれた瞬間、我々には至福の時が訪れます。

「はー」

この瞬間が、心から一番幸せな瞬間という方も多いのではないでしょうか。

こんな我々に幸せをもたらしてくれる「お布団って素晴らしい!」。
私はいつもそう密かに思って生きてきました。
だって、こんなことを声高に叫んでも変な人と思われるのがオチですもの。

しかし、ある時、ふと思いました。

お布団って、こんなに我々を幸せにしてくれるのに、そんなに頻繁に買わないなと。

そして、ある疑問が浮かびました。

「あの商店街の小さな布団屋さんは、なぜ、経営を続けていられるのだろうか?」
って。

どう考えても、そんなに頻繁にお客さんがあの小さな布団屋さんに入っているようには思えないのです。

そこで、私は、早速、まわりの人たちに、この前、布団を買ったのはいつか聞いてみることにしました。
すると、結婚する時に買った人はかなりいるのだけど、それ以降は買い換えたことがない人が結構いました。
布団は、一度買ってしまえば、当分のあいだ新しいものを買う必要はあまりないようです。
1年に一度とか、サッカーのワールドカップのように4年に一度は買い換えなくてはならないというものでもないのです。

私の勝手な想像でしかないのですが、多くの方はだいたい布団を10年くらいは持ってしまうのが現実ではないでしょうか。
そう考えますと、自分の人生でいったい何回、布団を買うのか想像してみても、両手で十分数えられるような気がします。

つまり、布団は商品としてそんなに頻繁に購入されるものではないのです。

そうです。

一般家庭において常に需要があるお肉や野菜とは根本的に質が違うのです。

さらに、考えてみますと、最近はニトリのような大手家具量販店チェーンがあります。
あの小さな布団屋さんで布団を買わなくてもよいと思っている方がたくさんいるような気もします。

 

布団屋さんには特殊任務がある?

では、なぜ、あの布団屋さんはまだ生き残っているのでしょうか?
なぜ、商売として成り立っているのでしょうか?

甚だ、疑問です。

私が、この理由について考えてみても、あの布団屋さんは実は仮の姿で、ジェームズ・ボンドのような某国の諜報部員、つまりスパイで、何か特別な任務を持っているとか、そういうくだらないことしか思いつきません。
本当に情けない話です。

しかし、冷静に考えてみますと、全国にある布団屋さん全てがジェームズ・ボンドのような某国の諜報部員だという可能性はないでしょう。
そんなことは、少し考えれば、私でもわかります。
たぶんですが……。

にもかかわらず、あの小さな布団屋さんが生きていくためには、なんらかの売上をあげる必要があるはずです。

でも、普通に考えたら、そもそもそんなに布団はめったに売れないはずです。

たとえば、たこ焼き屋さんならば、街を歩く人にも一定のニーズはあって、ある程度の売上が見込めるでしょう。
たこ焼きの場合、ふと、たこ焼きを焼いているお店のにおいにつられて、「あっ、なんか食べたい!」「今日のおやつにいいかも!」と思って、買ってしまうこともあるでしょう。
しかし、街を歩いているときに、「あっ、なんか、今、布団を無性に買いたい!」、「今日は新しいお布団にくるまれたい!何なの、抑えられないこの気持ちは!?」と思って、買ってしまうような商品ではないような気がします。
つまり、布団とたこ焼きとはまったくタイプが異なる商品なのです。

さらに、もう少し踏み込んで考えてみても、たこ焼きは、粉ものなので、材料費も比較的、安いでしょうし、調理していない時はガスを消すなどして、ガス代とかの経費を切り詰めながら商売をすれば、莫大ではないけどなんとか生活できるくらいの利益は出せるようになるかと想像できます。
しかし、布団の仕入れの費用はたこ焼きに比べて、高いような気もします。売れなければ、在庫になって、商売として大変なことになるような気がします。

なのに、あの商店街の小さな布団屋さんは実際、生き残っている!
そして、あの商店街の小さな布団屋さんは、長年にわたって継続し、しかもそれが全国的にまだある状態なのです。

この理由が私にはさっぱり想像すらできません。
まさに謎!
まったくの謎であります!

ということで、実際に聞いてみた >

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著者紹介

陰山孔貴(かげやま・よしき)

経営学者(経営学博士・MBA・工学修士)

1977年大阪府豊中市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科で電子・光子材料の研究を行った後、シャープ株式会社入社。急拡大する液晶パネル事業の経営管理、ヒット商品となった「ヘルシオ」の企画開発などに携わり3度の社内表彰を受ける。ヘルシオの企画開発期には並行して、神戸大学大学院経営学研究科にて学ぶ(博士課程を修了)。その後、シャープが経営危機に陥るなか、経営企画室で企業再建業務に従事。その過程で「モノ」よりも「ヒト」を育てる仕事をしたいという思いが芽生え、2013年から大学教員へ転身。現在、獨協大学経営学科にて「経営戦略論」の講義を担当する。「実務」と「理論」の両面に携わった経験を活かし、経営学を身近な視点で学べるだけでなく「魅力ある大人」と出会えるゼミは定員20名に対し多くの学生が殺到する人気ゼミとなっている。獨協大学 経営学科 専任講師。

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